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【鬼作】
鬼作

kisaku_game.jpg

メーカーelf
シナリオ■■■■■■■□ 7.5
グラフィック■■■■■■■■■ 9
キャラクター■■■■■■■■ 8
音楽■■■■■□ 5.5
鬼畜道■■■■■■■■■■ 10
総合【B】 74点

真なる美学

伊頭家三部作の三作目で、三男の伊頭鬼作が主役となる本作ですね。このシリーズは三作すべて大好きです笑。

【シナリオ】
学校、お嬢様学校女子寮ときて今度はいち企業が舞台ですね。兄の死を知った鬼作が、杉本製薬の寮長面接を受けるところから物語は進行します。最初は寮の管理人だけの予定だったのですが、鬼作の思惑が妙な方向に逸れ、当の企業の営業マンとして実務を積む流れになっていきます笑。というわけで、主に杉本製薬の社員を中心に、陵辱ターゲットを盗撮したりネタをつかんだりして例の如く追い込みをかけていきます。

期間は2年間あり、季節イベントなどもありますし、舞台はシリーズを追うごとに段々壮大になってきていますね。一方で作品の雰囲気や鬼作のキャラはだいぶコミカルになっていまして、本作は陵辱ものではありますが、ノリとしてはライトにプレイすることができると思います。鬼作の意図しないところで、行動が結果的に良いことになってしまったり、どんどん出世していってしまうのが笑えて面白かったですね。

しかし遺作と鬼作では臨場感や恐怖感がだいぶ変わりましたね。ま、視点が追い込みをかける側にあるかないかというのも大きいのでしょうけど。


エルフの旧作をやるたびに思うのですが、蛭田昌人という人のセンスは心底凄いものがあります。今の18禁PCゲームは、膨大なストーリーと読み手を引き込む展開、いわば「物語」としてどれだけ魅力があるか、ここを競い合っているようなものです。ですので、本サイト内でもどうしてもそういった観点からシナリオ点をつけていますが、蛭田作品ってのは、そういった観点では図れない、本サイトの点数には現れない魅力があります。シンプルながらもわかりやすくておもしろいテキストと、プレイに夢中にさせるゲームシステムが綺麗にはまっている。つまり「ゲーム」としてのシナリオの出来が凄いんですよね。テキスト総量だってそうたいしたものではないのでしょうけど、その分量が適度なボリュームでゲームを支えている。普通は「陵辱ゲー」なんてニッチなジャンル、こんな面白い作品にはならないと思います。

ただ、なんていうかな。本作に関して言えば、陵辱シーンがちょっと気の滅入るものばかりだったのが惜しい。シナリオや雰囲気、キャラ背景は非常によく出来ているんですが、エロの陵辱度合いやヒロインの壊れ方が遺作や臭作と比べるとちょいとばかし…いやだいぶ高くて、僕の許容範囲を越えてしまうものが多い。

ちなみにヒロイン全員を攻略するか社長までのぼりつめると追加シナリオがあるのですが、実はこれがけっこうキます。ベタといえばベタなのですが、まさか鬼作で泣き展開があるとは思ってもいませんし、こんな作品にじんわりさせられるとは……、なんか陵辱された気分だ笑



【グラフィック】
システム的には前回の臭作を踏襲していますね。プレイヤーが鬼作そのものを操作し、対象となる女性を盗撮写真・映像などで強請り堕としていく形式です。ですが、臭作と比べて諸々の点が改善されています。前作は攻略サイトにて先人の努力の結晶を見なければはっきり言ってクリアは困難でした。今回は難易度が考慮されている他にも、カメラの設置と回収で二度手間になる点などが改善されていて、比較的効率的にネタを集めることが出来ていたような気がします。逆にいえば、厳しいスケジュール内でいかにネタを掴んでいくかといったギリギリの状況下での達成感という部分は後退しているのかな、とも思いますけどね。

原画は前作と同じ、堀部秀郎さん。彼の絵は好きですね。今回も相当量の仕事だったと思います、エロシーンは1人につき12シーンずつあって攻略キャラ8人ですから。1シーンにも差分CGがあるわけですしね。もう量は申し分なし、そして塗りもエルフなんでまったく問題なし。素晴らしいです。ギャグ場面とはいえ、おっさんの排泄シーンなんてものにも力入れすぎですから。勘弁してよ笑。


【キャラクター】
本作の鬼作ですが、かなり愛すべき奴といいますか、前2作に比べてキャラクター的な魅力がかなり増しています。そして仕事がかなり出来る有能人間です笑。もちろん相変わらずの気味悪さや鬼畜さ、犯罪ド直球の極悪さは当然のように備えているのですが、ちょいちょい入る台詞や彼自身が持つ鬼畜道と呼ばれる美学などが完全にギャグであり、蛭田イズム満載の笑いが込められています。というわけで、キャラクター的には鬼作が圧倒的に立ってるんですよねー。

ヒロインは、 受付嬢、部署の同僚、上司の嫁や娘、秘書、病院の看護婦、など、様々なターゲットがおり、十代ばかりのエロゲ界のなかでは、全体的に高めの年齢です。印象にあるのは、鬼作に女としても堕ちてしまう同僚の末広円香ですかね。陵辱されながらも健気に鬼作を慕う様は可愛いのですがなんだか不憫でなりませんでした。唯一、スタッフロールの流れるENDを持つのが彼女です。

それから会長秘書の柏木綾乃、自身の黒歴史が暴かれることで脅迫されてしまう彼女ですが、陵辱されながらもなお高飛車な態度を崩さず鬼作を見下し、打算に頭を働かせている様は、これまでの三部作でひとりもいなかったタイプであり、とても印象に残っています。

キャラデザ的に良かったのは姫野部長の娘や会長の娘ですが、彼女らは上記のとおり陵辱シーンが辛すぎて見てられませんでしたよ……。陵辱シーンはやはり遺作、臭作程度が一般人の限界ですね。あれ以上に痛々しさが出てしまうとやっぱきついですね。

【音楽】
音楽は正直ほとんど記憶にありません。ちょっとうら寂しい感じの音楽がいくつか、って感じだったと思いますが…エルフは音楽力入れませんからね。


以上鬼作でした。やっぱり蛭田昌人という人は偉大ですね。彼は本作を機に数年間前線を退くことになるのですが、それと同時にエルフの衰退も拍車をかけることになります。そんな、転換期の作品です。

関連レビュー: 遺作
関連レビュー: 臭作



テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

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