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【グリーングリーン3 ~ハローグッバイ~】
グリーングリーン3 ~ハローグッバイ~



メーカーGROOVER
シナリオ■■■■■■■■□ 8.5
グラフィック■■■■■■■■□ 8.5
キャラクター■■■■■■■■□ 8.5
音楽■■■■■■■■ 8
脇役■■■■■■■■□ 8.5
総合【A】 84点

少年よ大志を抱け

青春ドタバタコメディ、グリーングリーン3です。3作目ともなると、キャラへの愛着が相当なところまで育っていますので、それだけでも楽しめるってなもんですね。

主人公は再び高崎祐介に戻り、メインヒロインはシリーズ共通して登場する朽木双葉、そしてバッチグー、一番星、天神の3馬鹿、毒ガス、轟教諭、2のメインキャラだったヘルスやホセやヒロインたち、さらに1のみと思われていた式神若葉なんかも登場しますので、グリグリシリーズを目いっぱい楽しむ大団円作品となります。

爽快に最後をまとめきってくれましたねえ。


【シナリオ】
舞台は言わずもがなの山奥の全寮制「鐘ノ音学園」。メインライターは「ゼロの使い魔」で名を馳せるヤマグチノボルさんです。相変わらずの男女含めた濃すぎるキャラたちの笑える会話を中心としたドタバタシナリオでありながらも、本作は高校三年生の二学期からの期間となりますので、卒業や進路など、大人への入り口がテーマとして描かれているところに注目です。秋の文化祭、そして卒業がメインのイベントになりますかね。 シナリオのボリュームも必要十分な量で、無理なく各ヒロインルートの物語は紡がれていたように思えます。

グリグリは日常シーンが派手なラブコメディではあるのですが、テーマが常に「別れ」なところが熱いですね。1は「ヒロインからの別れ」、2は「主人公からの別れ」、そして本作は「仲間たちの別れ」です。


また、注目したい点として「主人公に彼女がいる」という事前設定があります。大概この手のゲームは、なるべく主人公のキャラクター性が薄い状態からスタートさせて、各ヒロインとの事件、恋愛を経て二人の関係が色づけされていく、といったイメージで物語が形作られていきます。ですが、祐介にはグリーングリーン1から登場する少女双葉が既に彼女として存在するうえに、暴力的で嫉妬深くツンデレな双葉のキャラも相当濃いのですね。つまり相当にガッチリとした構図をもったうえで他ヒロインとの話も進んでいくわけです。

この点がリアリティを高めた人間関係を非常にうまく描けるメリットとなっているのですが、悪く言うと、祐介がはたから見ると節操のない奴に映るんだろうなぁということと、双葉をかわいそうな扱いにせざるを得なくなる部分が難しいということですね。ですが、他ヒロインルートでの彼女との別れはとても丁寧に描けていたと思いますし、その分TRUEと呼ぶべきメインの双葉ルートは本当に爽快感あふれる感動的なラブストーリーですので、まぁ良しではないでしょうか。当然双葉ルートは最後に攻略してください。1の早苗ルートとは違った意味で、途中で攻略してしまうと他ヒロインルートをやる気がなくなります。


上記したとおり圧倒的なのはメインヒロイン双葉ルート。特に、双葉妊娠発覚からの流れは、非常に高いシナリオ完成度を持ちます。基本的に魅力あるキャラ押しで引き付けるグリグリシリーズですが、双葉ルートに関してはキャラ抜きにしてシナリオが非常に良いです。

妊娠をテーマに添えるのは難しいと思うんですよね、流れもある程度限定されてしまうし、恋愛ゲームとしてはそこはかとなく反則技ですし。ですが、卒業後の不安を絡めつつ二人のための将来を模索していく展開、加えて「二人だけでは幸せになれない」という本作通して追及してきた答えを、3馬鹿、ちとせ、若葉、祐介の母などの脇役の好アシストを用いることで見事に証明しています。ホロリと泣かせる演出や台詞もところどころに散りばめられていて、読み手を引き込みます。

ヒロインは双葉の他に4名います。幼馴染の樫谷ちとせルート、恋を知り成長する天神葉月ルート、他人の心が読めることで自分を殺していた天神花月ルート。どのルートもそれなりのボリュームを以て綺麗にまとまっています。元芸能人の美杉舞ルートが少しだけ浮いていますかね。といいますのも、全ルート中最も印象の薄いルートであることに加えて、他ヒロインルートだと全く彼女は登場しませんので。この中でメインの双葉ルートがずば抜けているのは当然として、次いで抜けているのはちとせルートですね。グリグリ1のヒロインであった未来人千歳みどりの前世<という設定を利用した、過去との折り合いがテーマになるシナリオでした。


後半の卒業式付近は、長いシリーズの終わりを感じさせる各人の成長が見られる展開でした。ただ、轟先生からの言葉や、祐介やバッチグー、天神からの答辞、後輩とのやりとりなど、各々感動ポイントではあるのでしょうが、正直流れとしては容易に想像できる中で想像通りの言葉が紡がれます。ちょいとばかし泣かせようとする意図というかあざとさが前に出すぎてしまっているため、もう少しひねりがあればなぁと思いましたね。そういった意味では、文化祭後、夢のために突如学校を辞める一番星が最もシナリオの楔になっていたのは間違いないでしょう。

しかしなぁ、この3作目が圧倒的にシナリオの構成がよくできていて面白いというのが口惜しや。最もよく出来ているんですが、1,2をクリアしていないとキャラやシナリオの魅力が伝わりきらないでしょうから、シリーズものというのは難しいものですね。当然3作すべてプレイしている輩にとっては感慨深いものになることでしょう。各所で見られる互いを思い合う台詞や熱い友情シーンが、3作にもまたがる流れがあるがゆえに嘘臭くなく、本当に光りまくっています。

グリグリシリーズは単体でみると色々言いたいことはあるのですが、3まで通して考えると本当に残る作品だよなぁ、と思いますね。



【グラフィック】
片倉真二さんですね。相変わらず動きのあるアニメ調の魅力的な絵を描く方です。1や2のレビューでも触れていますが、この手のゲームではあまり見られないタイプの絵師であり、アニメの1シーンを切り取ったような構図も素晴らしいものがあります。

スピード感のあるCGの動きと最後にリズムの変わるサビを持つOPムービーがまたいいですねえ!ヒロインたちを回転しながら俯瞰する演出も定番です。


【キャラクター】
僕はグリグリ1から双葉スキーですので、3のメインヒロインが双葉になったと知って俄然胸が熱くなりました。まぁ1からの流れを継承できるヒロインが双葉くらいしかいなかったのも確かなのですが……。1の時は比較的カラッとしたキャラだったのですが、かなり嫉妬深く怒りっぽい面倒なタイプとなっています笑。まぁそれがまた双葉らしくもあり、個人的にはむしろ良かった。

他ヒロインとしては、葉月が凄く好きでしたね。個人的に、「元気っ子が恋を知る」というシナリオは大好物です。恋愛なんてどうでもいいやい!な子がしおらしくなる場面とかこちらも悶えてしまいますわ! このへんにグッときてしまうのは、多分ときめも2のほむらが原点になっているように思えます私。

また、3馬鹿の熱さには胸を打たれます。三者三様に本当に熱く、彼らは1からギャグ、シリアス両輪で活躍してくれましたね。祐介だけでなく、彼らもこのシリーズを通して成長しているのがわかるから良いですよね。特に本作、一番星が激烈に熱い。シナリオの楔にもなっていますし、双葉ルートでの彼の活躍も素晴らしいものがあります。ギャグ面で圧倒的ながらも締めるところは見事に締めるバッチグーも、天然なようで祐介や妹たちを本気で思い力になってくれる天神も、最高な友人キャラです。

そしてもう一人、初登場の名脇役、祐介のお母さん、桜子さんでしょう。ギャグもきいてるし、シリアスな言葉も親としての重みがあって響きます。豪胆な母親、というのはキャラが立つなあ。


【音楽】
相変わらず、気合の入った音楽構成で、例に漏れずヒロイン全員にED曲が用意されています。そして、どれもあまり印象に残らないのも共通しています笑。このあたり如何ともし難いのかな……。例えばニトロプラスの「スマガ」なんかも各ヒロインにED曲を用意していますが、それぞれは全く別のアーティストのものを利用しています。それくらい空気を変えないとぶつかり合ってしまって印象に残らないんだと思いますね。双葉EDの曲がグリーングリーン1のOPテーマだったのは熱かったですけどね。

1と2のいいとこどり+3新規のBGM群は良いです。出し惜しみなしですね。派手なシーンは過去の同様シーンで使われていたBGMを、泣かせどころも過去シリーズで印象深かったBGMを使っています。3新規のBGMも泣かせどころで使われるBGMが印象に残っていますね。1や2を彷彿とさせるシーンやキャラの時に、当時のBGMを使ってくる演出なども好印象です。


というわけで、グリーングリーン3でした。
シリーズものの体をとったエロゲの中では、インパクトもシナリオも折り紙つきの実力を持っていますよ。

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テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム