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【もしも明日が晴れならば】
もしも明日が晴れならば



メーカーぱれっと
シナリオ■■■■■■■■■ 9
グラフィック■■■■■■■■□ 9
キャラクター■■■■■■■□ 7.5
音楽■■■■■■■■ 8
ヒロイン偉すぎ度■■■■■■■■■ 9
総合【A】 84点

狙いすました感動

良く言えば泣きゲーとしてのお手本、悪く言えばあざとすぎる泣きの誘い、といった作品でした。素直に受け入れられれば凄まじい量の涙を流すことでしょう。「死」を扱う題材はある意味ずるいのですが、メインヒロインが死んでしまっているというかつてない設定、その「死」を感動どころへの伏線などではなく、物語の大前提として扱った部分は評価できます。

【シナリオ】
ある日、一樹の父親に引き取られてきた明穂とつばさの姉妹。以来、3人は実際の兄妹同様の関係を育み続けてきました。そしていつしか思いを通わせ合うようになった一樹と明穂は、ある夏の日に思いを告げ合い恋人同士になるのですが、その数日後、突如急病に伏した明穂はあっけなくこの世を去ってしまいます。突然の大切な人の死にふさぎこむ一樹とつばさ。新学期が始まりなんとなしに学校に通い出したそんな一樹の前に不思議な幻がたびたび現れます。それは亡き明穂の幻影…と思っていたらそれは本当に現世に幽霊として舞い戻ってきた明穂だったのでした。


んー、てなわけで、上記導入がChapter.1ですね。本作、Chapter.5までが共通ルートとなっており、Chapter.6が個別シナリオとなっているわけですが、この個別ルートに入るまでが実に長いっ!まぁ相当に濃い共通ルートではあるのですが…最初の攻略ヒロインを誰にするかが大事ですね。

Chapter.2は、明穂を呪い殺してしまっていた神様千早の話。Chapter.3は一樹への思いが溢れ返ってしまうつばさの話、Chapter.4はつばさの親友、鬼切りを生業とする珠美を主役に沿えた、幽霊騒動の一幕。

しかしこのChapter.4の泣きと言ったら。悲しい勘違いをしたまま死んでしまった少年と父親であるエノケン先生との絆の確認、数多くの死を見送り続けてきた珠美だからこその、霊に対する葛藤そして愛情。大体ね、あれで感動しない人がいるはずないですよ、もうね、あざとすぎです。あざとすぎ、あざと…


実ぅうううう!!!



あざとくてナンボの問答無用の泣きが展開されるChapter.4のラスト、珠美が私の中でのベストヒロインに躍り出ました

そして閑話的なChapter4.5を経て、Chapter.5は学園祭の話。そして各Chapterを通しての親密度に応じての個別ルートです。


ユーザー的には明穂ルートが一番評価されているようですが、一番個人的に評価できて、泣いたのは実はつばさルートでした。「メインヒロインに隠れた義妹(主人公スキー)」というのは、エロゲ界においてお決まり設定ですが、その手の作品の中では、上級クラスの出来でしょう。明穂と一樹にあまりにも近すぎる存在ゆえに、しっかりとした心の動きの書き込みが必要とされる本ルートですが、つばさの葛藤と一樹の選択は、実によく書きこめていたと思います。特に海での明穂との別れのシーンはかなり泣けました。

千早ルートは実に気の長い悲しいお話でした。彼女のルーツが語られるのは話に深みが出るので評価。内容は、罪の意識を背負い続ける千早と一樹の押し問答ルートですね。共通ルートで、千早の呪いで明穂が死んでしまったことが早々に明かされますが、この展開はもっと温めて温めて千早のキャラを丹念に浸透させたうえで、個別ルートのフックとして使えば凄まじいウルトラ設定になっていたのではないでしょうか……。

珠美ルートはですね、共通ルートの珠美編の方がインパクトがあったもので個別ルートが、不遇だよぉ。 彼女は凄く真面目であると同時に、その職業柄(?)霊に対する想いが非常に強く、未練や悔恨といった感情への理解がとても深い。ですので、明穂の未練に対する理解も必然的に人一倍大きく、本ルートはそんな彼女の背中を押す明穂の活躍が印象的なルートでした。

他ヒロインルートは、明穂がとてもいい働きをしてくれるのが逆に切ないですね。一樹と明穂は恋人、というのが大前提としてあるので、どのヒロインもその壁を乗り越えなければならないのが肝となるのですが、結局すべて明穂が背中を後押し(そして成仏)する手法が固定されていたのがちょっと残念だったかな。


そして、最もまとまりが良いのは当然メインヒロインである明穂ルートでしょう。成仏シーンはなかなかキます。まぁそもそも本作のあらゆる設定が明穂のためにあるものですからそれはそうでしょう。他ルートでは昼行灯で今ひとつだった一樹も、本ルートが一番しっくり来るセリフ、行動をとっておりまして、そりゃあそうです、彼は明穂の彼氏なんですからね。

ストーリーの流れはよく読めますし、ハッピーエンドにするならまぁそれよね、って感じのご都合主義大団円もあまりにも王道だぜってなもんですが、良いのです良いのです。転生して一樹の前に現れるというエピローグは、やはりか…という展開なのですが、まぁそれも一樹と明穂が幸せになってくれるなら良いってなもんです、ハイ。全ルートを通して見続けてきた明穂の健気さは、自分のルートでくらい奇跡という形で報われても誰も文句は言わないさ



【グラフィック】
くすくすさんの絵、柔らかく優しい絵柄です。どこかクセというか個性に欠けるところもあるのですが、絵柄自体は凄まじいユーザー人気が誇るようにとても巧いですし、立ち絵、一枚絵ともに表情の作り方が非常に丁寧で、且つ枚数も多いので素晴らしいと言わざるを得ません。しかし非攻略の委員長が一番立ち絵的にかわいいというのはどういうことよ。

あと、是非言及しておきたい点として立ち絵まわりのエフェクトが秀逸なところがあります。数が豊富なのもあるのですがそれよりも、アップにしたり引いたり後姿を用意したりすることで、キャラクターの立ち位置の遠近感を出すのがとてもうまかったですね。



【キャラクター】
全体的にレベルの高い本作において、少し弱く感じるのがキャラクター造形だと思います。クセのある人間がいないというか、皆あまりにも普通の人すぎる。いや、変人がいればいいというわけではないですし、むしろ嫌ですが、ちょっと全体的に弱かったかな。

同様に主人公もあまりにも善人な真面目君すぎてちょい物足りなさがあります。「僕」という一人称+弱気なキャラに感情移入できなかったというのもあるかもしれません。まぁそれは日常パートではマイナス面に作用しますが、山場においてはその誠実さがプラスに働きます。

サブキャラとしては、というかサブキャラは2、3人しかいませんが…と書いていて気づきました。このゲームは登場人物が極端に少ないんですね!サブキャラがもっと果敢に絡んでくれた方が個人的には好きですよ。

話は戻して友人の直之あたりはもっと絡んできてほしかったですねー。女性登場人物全員あますことなく主人公のことが好きという超ハーレム設定なので、男キャラの熱い活躍がほしかったところです。あとは、やはり委員長の攻略ができないというのはとんだ誤算ですわ!



【音楽】
根強いファンの多いWhite Lipsですが、主題歌の「もしも明日が晴れならば」これに尽きます。他の唄付きはあんま印象に残っていませんが、この曲は涙腺にきます。BGMは全体的に、シンフォニックで穏やかなものが多いです。平均レベルは高いですが、泣きゲーの割には泣きどころにガッチリはまるBGMがなかったのが少し残念なところでしょうか。


以上、もしも明日が晴れならばでした。
いやはや、まんまと泣いてしまう作品です。愛が溢れているシナリオに心が洗われました。



テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

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2009/06/10(水) 21:14:25 | ??ġ?