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エロゲ レビュー ブログ
【RANCEⅨ ヘルマン革命】
RANCEⅨ ヘルマン革命




メーカーALICE SOFT
シナリオ■■■■■■■■■□ 9.5
グラフィック■■■■■■■■■■ 10
キャラクター■■■■■■■■■■ 10
音楽■■■■■■■■ 8
漢ゲー■■■■■■■■■■ 10
総合【S】 94点

満を持しての熱き展開

2014年発売、ランスシリーズの9作目、ついに舞台はヘルマンへ。
正史ではこれまでほとんど登場してこなかったヘルマンがようやく、やっとこさやってきました。

とにかく重厚。
シナリオも重厚ならば、戦闘システムも重厚。
時間泥棒具合も重厚。

次作で最終作を迎えるはずのランス10での大団円に向けて、全ての準備を整えておく役割も持っているわけですが、繋ぎであることに終始せず、単体でプレイしても十分熱くなれる作品としてのストーリー展開はもう職人の域ですね。ランスシリーズは歴史の重みが違いますから、昔から登場しているキャラクターたちが作品を超えて活躍する様を見ることができるだけでも胸熱というものです。


【シナリオ】
かつてヘルマンを負われた皇子パットンは、厳しい修行と反省の日々を生き抜き、強くたくましい人格者、闘技者に生まれ変わりました。時期は満ち、仲間たちと狙うは腐敗政治が横行した祖国ヘルマンの奪還と再生。国益を貪る為政者たちに傀儡化された王室、私物化された軍隊が立ちはだかりますが、極寒の地にて鍛え上げられたその軍隊のすさまじき強さは大陸最大の戦力を誇ります。パットン一味の考えは、少数精鋭の一点突破、まっすぐに首都ラングバウの中枢を狙うこと。それを行うための準備が整ったとき、最後にして最大の秘密兵器として彼が接触を取ったのは、かつて冒険で友人になったランスその人でした。


いやー、熱いですね導入。
キャッチコピーは「兵力10000倍」。これは燃えざるを得ません。


これまでに、リーザス、ゼス、JAPAN、という各大国を舞台にした大作を経てきて、最後の大国を描くのがこの「ヘルマン革命」になります。当然、これまでに登場してきた各国の主要人物たちが出てきますが、それは軍を率いる大国の英雄としての存在ではなく、ランス革命軍に協力する各国の精鋭個人……あくまで個としてランスやパットンに協力をしてくれることで、普段の肩書を置いた他国の要人キャラがとてもよく掘り下げられていました。特にリーザス赤の軍のリックの存在感たるや凄いです。リックスキーは本作マストですね。

そしてヘルマン軍の第1~5軍の軍隊長たちの人間ドラマも素晴らしい。
軍全体を支える存在感と責任感を併せ持つ1軍のレリューコフ、革命派と繋がりを持ちつつ魔軍とのパワーバランスも常に調整してくれているパットンの友人でもある2軍のアリストレス、世界最強の戦闘力を持つ女性であり虎視坦々と覇権を狙うミネバ、ひとつ置いて(笑)、祖国と亡き妻のためにヘルマン最強の剣士として立ちはだかるロレックス。彼らひとりひとりのキャラが異様に立っており、その思惑やドラマが物語に強く絡んでくるところが上手でした。彼らはメインキャラ扱いの面々なので性格的には大体がパットン派寄りなのですが、義を重んじるヘルマンにおいて、あくまで国を守る軍人として立ちはだかります。


また今回は、ヘルマンの国土の半分が魔界と接していることからストーリー上に設定として出てきはしますが、珍しく魔王や魔人といった要素はほとんど出てきませんし、魔人のキャラクターも絡んできません。設定として生きているだけで、話はガチンコのヘルマンVS革命軍となりますので、過去作と比べても、単独作品としてのプレイ要素が高い気がしますね。


本作にはメインヒロインが7人いるのですが、ここだけちょっと不満というか、何故このメンツという。

*本作初登場のルシアン(シーラ姫です
*見当かなみ
*魔想志津香

このあたりはキャラの格的にも歴史的にも十分理解できるのですが、

*チルディ・シャープ(後発キャラ)
*戦姫(戦国ランスでのサブキャラ)
*ピグ・ギリシアム(新キャラ)
*ミラクル・トー(新キャラ)

あたりは、この佳境に差し掛かったランスシリーズでメインヒロイン扱い??って感じなんですよね。
え、マリアは?? リズナとか…… 謙信は?? 
いや、どうなんだろう。僕がそう思ってるだけで、皆さん的には戦姫とかチルディとかメインヒロインにふさわしいのでしょうか……? トーとかは個人的にはわかる気もしますが。。。


と、ヒロインに対する揶揄こそあるものの、ストーリーは上記した通り素晴らしい展開です。鬼畜王ランスで人気を誇っていたヘルマンキャラクターたち……、3大国を舞台にしたランスシリーズとしては、リーザス編であるランスⅢ、ゼス編であるランスⅥから実に10年もの間があったわけですが、よくもここまでヘルマン編の主要キャラたちを溜めに溜めて出してこなかったと思いますね~。

少数精鋭で裏をかいて突破して中枢に迫っていくという展開も非常に刺激的で、ランスの型破りな作戦がはまって大軍を翻弄していく様のカタルシスはすごいですし、呼応して勢力や仲間たちがどんどん高まっていく右肩上がりのテンション展開も個人的には非常に楽しめました。

物語のエンディングで凄く好きなシーンがありまして、リックが、レイラさんに今回の旅はどうだったか聞かれたことに対して、友が出来たよ的なことを語るシーンがあるのですが、まさにそういう男同士の友情が育っていく過程が見える、とにかく「熱さ」に重きを置いたストーリーだったと思います。


【グラフィック・キャラクター・音楽】
戦力差を突破する、というコンセプトに則った、多くの敵をいかに撃破していくかというタクティクス型の戦闘シーンは面白かったです。ですがバトルよりもストーリーに重きを置いている感じがして、バトルシステムの絶妙なバランス感に歓喜したいユーザーからすると、ちょっと作業感が強かったのかもしれません。


キャラクターに関してですが、ランスシリーズは基本的にはランスと周囲の女の子たち、という構図が基本なんです。ですので強キャラやイベントキャラも基本的には女の子。ですが、本作ヘルマン編は男との熱いイベントが多い。ランスを認める強キャラたちに、同じく(珍しく)ランスが認め、ともに戦うキャラの男の比率がこれまでと比べて圧倒的に多い。これが僕が高評価にしたくなる所以かな。いや別に僕がアッーとかそういうことじゃなくて、やっぱり脇にいる男キャラが熱いと作品も熱くなるもんですよ。

ランスに並び、ヘルマンサイドの主人公として描かれるパットン並びに、幼馴染であり革命軍幹部のヒューバートがめちゃくちゃ熱かったです。


新規のヘルマンキャラクター、腐敗した事務方キャラクターは想像以上のクソっぷりですし笑、軍務方のキャラクターは想像以上のカッコよさです。メインヒロインのシーラ姫も最後のヒロインに恥じない存在感でした。鬼畜王設定であった「ゲーム開始時点ですでに薬漬けの性奴隷」という設定が撤廃されていたのは良かったです笑。

あとひとつ言わせてくれ。
本作でようやく本心でデレる魔想さんにデレたユーザーは数知れずだと!!



音楽は相変わらず滾りますね。
特にラストバトルの音楽が差し掛かるタイミングとそのかっこよすぎる楽曲は鳥肌もんです。




以上、ランスⅨです。
これまでの集大成ともいうべきストーリーであり、最終作に至る壮大な道を作り上げました。
名作でしょう。