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【戦国ランス】
戦国ランス



メーカーALICE SOFT
シナリオ■■■■■■■■■□ 9.5
グラフィック■■■■■■■■■■ 10
キャラクター■■■■■■■■■■ 10
音楽■■■■■■■■■□ 9.5
リプレイ■■■■■■■■■■ 10
総合【S+】 97点

武将とランスの夢の共演

みんな大好きランスシリーズの最新作に、地域制圧型シミュレーションシステム、さらに舞台はもともと馴染みのある日本をモチーフにした島国JAPAN、とくればワクワクしないわけがありません。相変わらずの壮大なゲーム展開と数多の登場人物ですが、そのスケールにまったく負けない魅力を放って僕らの心をがっちり掴みます。

【シナリオ】
いつかJAPANが舞台になるのはわかっていましたが、ついに来てくれましたね。日本の戦国時代をモチーフにしているため、とても入りやすい作品になっています。もちろん内実は奇人変人ひしめくいつものルドラサウム世界です。タイトルこそ「戦国ランス」ですが、れっきとしたランスシリーズの第7弾であり、様々な設定や展開はこれまでの作品の踏襲となっています。もちろん知っておらずともプレイに支障はきたしませんが、知っているとよりディープなランス世界に入り込むことができますね。ゲーム附属のブックレットにこれまでのランスシリーズのダイジェストが載っていますので、それを読めばひとまずOKです!


前作、ゼスでの大騒動も収束した頃、ランスはJAPANでも絶世の美女と名高い織田家の香姫の噂を確かめに、温泉旅行も兼ねてシィルと共にJAPANを訪れます、実際の香姫はまだ年端もいかない幼い少女だったものの、その兄であり織田家現当主の織田信長と意気投合したランスは、織田家の影番として国を動かす旨を信長より打診されます。それを受け、JAPAN中の女性を我が物にするため、ランスがJAPAN制圧に乗り出します。

という、相変わらずのランス節でスタート。飽きない戦闘システムと膨大なイベント数がボリューム感を支えていますが、実はテキスト自体は比較的シンプルで、さくさく読み進められます。序盤は単純な国盗合戦なのですが、封印の弱まった魔人ザビエルが信長の身体を乗っ取るあたりから、物語はいつものランスシリーズの流れに変わっていきますね。


ルートは正史ルートの他に、本作のヒロインに抜擢された3人、山本五十六ルート、南条蘭ルート、上杉謙信ルートがあります。あとは魔王ルートというのもありますが、まあこれは詰んで終わるおまけみたいなもんです。

正史ルート、序盤は国盗りを進めながら仲間が増えたり他国の様子が進行する過程が描かれます。中盤以降はだいぶキナ臭くなり、織田信長の身体を乗っ取った魔人ザビエルとその使徒たちを相手取り、次期魔王候補のリトルプリンセス来水美樹が魔王として覚醒するまでの過程が描かれますね。

最後に正史が大きく動きますね。美樹が魔王として覚醒しかけ、恋人の健太郎くんも美樹の魔人となってしまいます。シィルはランスをかばって美樹の力で氷漬けにされてしまいますし、それを受けて次作、シィルを助ける方法を求めにヘルマンが舞台になる伏線を残して物語は幕を閉じます。で、最後ここ少しモノ申したいんですよね。もっと戦国ランスは戦国ランスとして物語を閉じてほしかったです。「つづく」みたいにさっくりと終わってしまいますので……。

さてさて、次回作はシィルがいない状態からスタートするのですね。さらに美樹が魔王に完全覚醒するのも時間の問題のように見えますがどうなるのでしょう。


序盤に織田家で夜桜を見るシーンがありますが、ここでの会話が非常に象徴的でした。信長は、死んでしまった妻の帰蝶を想って、「失ってからじゃ遅い」と言葉を紡ぎランスは「よくわからん」と返しますが、本作では、香姫が信長を、そしてランスがシィルを、大切な人を失いますね。このシーンはランスシリーズ全体でも指折りに綺麗なシーンですが、ここでの会話が本作の展開を象徴しているといっても良いでしょう。


不満点としては、後半に魔人ザビエル率いる魔軍がJAPANを侵攻してくるのですが、そのスピードがあまりにも早すぎます。博多天満橋からあっという間に織田家領土と隣接するところまで来てしまいますので、九州の島津軍なんて、正史ルートでのランスたちとの絡みなんて無いようなもんです。他にも、他国同士の絡みや戦争などをもっと描いてくれると混戦具合が出てもっと深みが与えられたようにも思えますが、まぁこれ以上膨らませすぎると逆に収集つかなくなるのかな。


二周目以降に各ヒロインへの分岐ができます。まずはお家再興を目指す山本五十六ルート。このルートは信長も香姫も死んでしまいますので、正式に当主となったランスをめぐり家督相続を繰り広げるルートです。自分以外全滅してしまった山本家跡継ぎのために男の子が欲しくてたまらない五十六もランスと身体を重ねますが、ご存知の通りランスはシイルに避妊魔法をかけさせているため子供ができるわけがありません。その後、謎の女「傾国」によりランスの子供ができたできないの一騒動があったり、実は死んでいなかったザビエルとの乱戦があったりして、EDは避妊魔法を一時的に解いた時に出来ていたランスと五十六の子供にスポットがあたって終わりますね。

しかしどうやらこのランスと五十六の息子「乱義」は、正史の設定として取り入れられそうです。今後出てくるかもしれませんね。

北条早雲の幼馴染のツンデレ南条蘭ルート。捕虜として捉えた後に早雲と蘭双方を騙すことでまんまと蘭を手篭めにするランス。その後病床に臥せた早雲の医者として現れる傾国の陰謀で開かれていく地獄の穴をふさいでまわるルートでした。最後は好感度によって、蘭が早雲のもとに戻るEDと、ランスになんだかんだついてくるEDがあります。

実は、彼女はザビエルの使徒である戯骸の封印体となっていますので、正史ルートでは戯骸の登場即ち蘭の死亡であり、正史では蘭は死んだものとして展開していくのです……蘭は物凄く可愛いキャラなのですが、むごい扱いですというわけでの救済ifルートとしての意味合いが強いのでしょう。戯骸を復活させない流れをとるために、信長が早々と封印され退場してしまうのがルートの特長で、島津軍との戦闘シーンがあったり、独眼龍家を攻める時間的余裕があったりと、比較的のんびりと出来るルートでした。

そしてJAPAN一の剣士、軍神上杉謙信ルート。本作最大の天然萌えキャラとして描かれる謙信、強いし可愛いし次回作でも是非出てきてもらいたいキャラクターですね。謙信はランスに一目惚れでどんぶり飯3杯しか喉を通らない重症ぶり、ランスも直球勝負で愛を伝えてくる謙信にたじたじ、とランスシリーズにはあるまじき(?)微笑ましい展開をみせます。このルートは三種の神器を揃えてJAPANの「帝」を謙信が目指すルートで、後半は各国の猛者たちとの一騎打ち帝レースに参戦します。


それから追加パッチで猿殺しルートというものがありました。信長のそばにはペットの猿がいるのですが、その猿をうっかりランスが殺してしまうという展開です。この猿は実はザビエルの使徒で、正史だと封印のひょうたんを割る役割がありますため、ようは、物語展開がなくなりのんびりと全国統一をしていくような遊び要素的なルートとなりますね。それからボツになってしまいましたが、鈴女ルートというのも構想段階ではあったようですね。鈴女好きとしては是非ほしかったですね!



【グラフィック】
アリスソフトのゲーム性は文句なしの業界随一ですが、その中でもさらに1,2を争う出来だと思います。いまのところ、大悪司、鬼畜王ランス、そして本作のいずれかではないでしょうか。かくいう私も、12月なかば発売だったと記憶していますが、見事に年末年始休みを持っていかれました笑

システム的には、地域制圧型シミュレーションで、シナリオ進行、自国イベントフェーズ、戦闘フェーズ、他国イベントフェーズなどひととおりこなして1ターン、といった形の、大悪司や大番長に似たシステムですね。肝になっているのは戦闘シーン、一回の戦闘で6人まで選べる武将ユニット+各々の軍隊で、それぞれのユニットには決められた属性があります。武士、足軽、弓兵、軍師、忍者、巫女、僧兵、陰陽、鉄砲隊…と色々あるのですが、当たり前ながら各属性の特徴は様々。

全滅させれば勿論完全勝利ですが、ポイントとなる考え方として、より多くのダメージを与えた方が勝つというわけでは決してなく、決められたターン内で戦果ゲージを相手国側に押し込んでいる方が勝ちとなります。攻め入る側は戦果ゲージが低い状態から戦闘開始となりますので、なんとか有利に合戦を展開させなければなりません。

例えば、相手国が防御重視の足軽を重点的に配置する編成だった場合、攻めあぐねたまま時間が立ち、圧倒的にダメージを与えているにも関わらず戦果ゲージを押し込み切れず負けてしまったりします。こういう場合は、後衛ユニットに攻撃できる陰陽師や弓兵ユニットを配置して相手後衛の武将を撃破するのが良いかなぁ(1ユニットを戦力ゼロまで落とし込めば戦果ゲージが大きく動くため)とか、いやはや最もパワーのある武士をまとめて3人前衛配置して超火力押しでいってみるかなぁとか、忍者の暗殺を使って一点突破を狙ってみるかなぁとか、都度敵国の状況に合わせて戦略を練りながらユニットを配置させることになります。同じ相手でもこちらのユニット配置で全く違う結果を生む点のやりこみ要素は素晴らしいです。もちろんそこにアイテム要素や金策を必要とする兵員補充などが絡んだりして、より深みを増すことも言及しておきます。バランス感が本当に見事なんです。

そして城がひとつ落ちれば必ず何かしらのイベントが起きるわけで、こういったご褒美要素や達成感要素はゲームとして必須の仕様であることもわかっています。

以上ゲームシステム面は最強クラスですが、純粋なグラフィック面も文句なしの極上レベル。織音さんを担当に添えた原画群の多さといったら。僕ははっきりいって織音信者なので、織音担当というだけでも歓喜なのですが、その数、一枚絵の魅力は期待を裏切ること無く尋常ではない良さです。さらにShadeBGMにのせたOPムービーの圧倒的高揚感は凄まじいですね。これ見たらみんな店に走るだろってほどに。僕が発売日に買った唯一のエロゲーであったりします。


【キャラクター】
武田、上杉、伊達、毛利、徳川…と時期こそばらばらなれど、誰もが知っている戦国武将たちがアリスソフトオリジナルにてガンガン登場してきます。それこそ女の子武将だったり、変態だったり、化物だったり…と相変わらずのキャラクターセンスは最高ですね笑。イラスト使い回しのモブキャラがたくさん出てくる分には納得なのですが、とにもかくにもユニークユニットが多い。これだけのキャラを全体に配置し、かつ印象が薄くなる奴がほとんどいない。あまりにも見事です。

信長・香姫をはじめとし、参謀の妖怪3G、重度のロリコン柴田勝家、そんな勝家のことが好きな剛腕乱丸…と織田家だけでもメンツは濃いです。織田家だと香姫が良いですね。ランスのJAPAN遠征のきっかけでもある香姫は本作においてシナリオの最も中心に近いところにいる女性キャラとなるわけですが、彼女がまぁ報われない。健気でまっすぐでかいがいしく兄やランスをよく慕っている彼女ですが、正史では魔人ザビエルに捉えられ少女ながらに陵辱されてしまいますし、五十六ルートにいたっては殺されてしまいます。不憫ではありますが、キャラがよく立っているうえに再登場の伏線もある彼女ですので楽しみですね。ちなみに彼女は後半戦闘ユニットに変化しますが、その際の属性が、一国の幼い姫でありながらも前線に立ち防御の役を担う足軽隊だというのは熱かったですね。

そして織田以上に濃い敵国のキャラたちもほぼ全員仲間に引き入れることが可能なわけですが、どいつもこいつもクセがあって魅力的なので、一体どういう編成にしていこうかと常に頭を悩ませること間違いなし。個人的に好きだったのは、風貌は目玉の親父なれど漢の中の漢で言動がかっこよすぎる独眼竜政宗、徳川たぬき軍団随一の武士たぬー本多忠勝、それからなんといっても今後のシリーズでの登場も期待できそうなJAPAN一の凄腕くのいち鈴女ですね。ういうい。

好みのキャラは人により千差万別でしょうね。ヒロイン格ではやっぱり謙信かなー。さらに援軍としてゼスとリーザスからおなじみのメンバーを呼び寄せることも出来ます。ゼスからはリズナ、ウルザ、マジック、リーザスからはかなみ、マリア、レイラですね。最高。もうこういったファンサービスといいますか、シリーズものの強みですよね。そして無料の追加パッチをあてることでシリーズ内でも1,2を争う人気の志津香を仲間に加えることもできます。グレイト。

ランスは相変わらずの傍若無人ぶりですが、突き抜け感が少し柔和になったというか、随所で人を気遣ったり感傷を見せたりと人間味ある面を見せ、僕としては余計に好きになりました。そして境遇も不遇、人気もいまひとつのメインヒロインシィルですが、本作、もこもこヘアーを後ろでポニーテール風にまとめるというイメージ転換、織音グッジョブにより凄く魅力的に描けています。シィル好きなんだけどなー。次回はほとんど出てこないっぽいし……。

本作ボスのザビエル、「これぞ魔人」というべき性格に見た目、文句なしの敵役といった様相ですね。見た目や性格でいうならば美樹なんかよりもよっぽど魔王然りとしていますが……当の美樹、健太郎はやっと正史に登場してきました。今後の絡みが楽しみです。美樹が登場しましたので、次作ではホーネット派の魔人も登場しそうな気配ですし、ますます目が話せませんね! …といっても、もうこれを書いている時点で既に4年ランスシリーズ続編の音沙汰なしです。。。


【音楽】
歌付き曲はないかわりに燃え燃えのギターロックBGMが盛られているのがランスシリーズの特徴です。音楽はShade氏、「Sengoku Rance」「rebirth the edge」が超上がります。かっこよすぎ。ボス戦の「Ontology」、謙信テーマの「Mars」、泣かせどころの「A Camly Wind」も印象に残っています。全体的に、戦闘は押せ押せのギター、日常は和楽器を使った日本音階の曲が中心でいい感じです。

そしていまどきのゲームにしてはありえない、声がない、という仕様も何故かまったく気にならないボリューム感。唯一無二の存在感を感じさせます。


以上戦国ランスです。ストーリーやキャラも魅力的、エロゲーとしての責務も果たしている。そして、やりこみ要素をこれでもかというほど詰め込んだ作品です。是非是非プレイして時間を忘れて没頭してほしいものです。



テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

【パルフェ ~ショコラ second brew~】
パルフェ ~ショコラ second brew~



メーカー戯画
シナリオ■■■■■■■■■■ 10
グラフィック■■■■■■■■■□ 9.5
キャラクター■■■■■■■■■■ 10
音楽■■■■■■■■□ 8.5
雰囲気■■■■■■■■■■ 10
総合【S+】 96点

この作品を手本とせよ

まるねこ作品は気合入れて書きますよ。メイド喫茶を舞台にした「ショコラ」で注目された"戯画まるねこ"チームの続編…というか、まぁショコラをプレイしていなくとも全く問題はないのですが、設定を踏襲した発展作品ですね。

タイトルで「二番煎じ」を謳っていますし、全体的な設定はもちろん、ヒロイン勢も、ショコラのヒロインたちと同じような性格、属性をもったヒロインが揃っています。えてしてこの手のものは前作の壁を越えられないものですが、パルフェにおいてはあらゆる面でショコラを凌駕しています。むしろこちらがメインで、ショコラを「"プレ"パルフェ」と見た方がしっくりくるほどです。


【シナリオ】
ある日、主人公高村仁の元に、グランドオープン間近のショッピングモール「ブリックモール」から、仁の義姉である恵麻が経営していた欧風アンティーク喫茶「ファミーユ」に出店して欲しい旨の電話が舞い込みます。しかし、ファミーユは半年前の火災事故により店舗を失って現在休業中―。亡き兄と恵麻の大切な思い出であった「ファミーユ」に強い思い入れのある仁は、悪戦苦闘しながら開店準備を進めますが、直前にファミーユ予定テナントの真向かいの店が「キュリオ」の3号店であることを知り愕然とします。なぜならキュリオは、ファミーユがそのコンセプトを学び、模倣した、そのオリジナルとなる店だったから。

圧倒的な人気と実力を誇るキュリオを前にし、仁・明日香・かすりの3人だけでの始動を余儀なくされた開店の前日深夜、滑り込みで現れたバイト志望の少女、由飛。彼女の奇抜な立ち居振る舞いと歌声に魅かれてしまった仁は、直感的に彼女の採用を決定、開店メンバーが決定します……さて、転がりだした新生ファミーユはどうなっていくのでしょうか。


……というわけで、超名作パルフェですね。シナリオ担当は前作ショコラ同様、丸戸史明さん。ライター買いするユーザーも非常に多い人気ライターさんです。僕も彼のテキストはエロゲ界の中では1,2を争うくらいに好きですよ。非常に「馴染む」文章を書く人ですね。テンポよく明快で、無駄なテキストや誇張表現もなく、いたってシンプルです。泣き展開や伏線トリックを用いる際に有効な、「ファンタジー」「非現実」などの要素を盛り込むわけでもなく、あくまで現実的な日常を基本ベースにしているわけですが、そのシンプルさだからこそ文章の「うまさ」が際立ちます。


さて、その丸戸さんは、表に明確なメインヒロインをひとり立てる一方で、主人公との過去に強く関係した裏ヒロインを作ることで有名です。それは、メインヒロインの存在を吹き飛ばすほど、力の割かれたテキストに泣かせる演出が施されるもので、ショコラにおける香奈子であり、こんにゃくにおける海己でした。そして、丸戸史明さん十八番のそのカラクリの中でも最高峰といわれているのが本作パルフェの夏海里伽子ルートであり、そのシナリオ完成度といったらハンパではないです。本作は、全ヒロインルートがまるで山王工業高校バスケ部のように非常に高い質をもって安定していますが、こと夏海里伽子ルートに関しては頭ふたつ分くらい抜けているといって良いでしょう。

里伽子は、仁の大学同級生にして、前ファミーユにおける作戦参謀役だった女の子です。仁とも非常に良い仲でしたが、前ファミーユ放火騒動を境に二人の間には見えない溝が出来てしまっています。その原因となる、怪我した利き腕が動かないという伏線は、実は物語序盤からあらゆる箇所でばらまかれていて、共通パートや他ヒロインルートにおける彼女の行動やセリフひとつひとつが、「腕が動かない」と考えればよくわかる場面ばかり。彼女の立ち絵ですら伏線になっているこの仕掛けは実に巧妙で、本当に感心してしまいました。

主人公の仁は、親を亡くし、兄を亡くし、恵麻姉ちゃんと兄の店であったファミーユを無くし…と、大変な苦労人です。そして恵麻という「家族」のため、大学を休学してまでファミーユ再建という夢に賭けます。このくだりは本作の導入でユーザーを引き込む大前提の設定となっているわけですが、だからこそ頑なに「家族」を第一とする仁の信念と真っ向から対立する里伽子ルートのシナリオは感情が揺さぶられました。

ラストシーンは大号泣間違いなし。家族に対する信念を曲げず、里伽子を優先的に受け入れるには確かにその流れしかありません。数年後のエピローグ、我が子を抱けるまでに腕を回復させた未来にも涙ですし、里伽子の口癖である「しょうがないなぁ」を仁が発するシーンには…。くっ…、この文章を書きながら涙が出そうになってしまうほどです。

伏線の絡みから、そんな里伽子ルートと対になっているのはまーねえちゃんこと杉澤恵麻ルート、家族愛というと聞こえのいいブラコンシスコンっぷりは完全なるネタですが、物語に良い味付けをしていました。そして、そのあたりの身内に対する感情を飛び越えてゆく、というか既に飛び越えていた、というか…まぁそれが恵麻ルートの当然の流れであるわけです。

しかし、火事騒動の際、仁が、腕に重症を負ってしまった里伽子をほったらかしにして恵麻につきっきりだったこと、その間里伽子がひとり苦しんでいる一方で恵麻は仁にすがりっぱなしだったということ、そもそも里伽子が怪我をしたのは仁の亡き家族の遺影を回収しようとしたためだったことなどから、どうにも里伽子に肩入れしてしまう展開です。圧倒的なシナリオの泣きを持つ里伽子との対比ルートなので、ちょいとかわいそうな立ち位置に置かれてしまった人ですね、まーねえちゃんは。エピローグも腕の後遺症を克服している里伽子の方につい感動が寄ってしまうし…。とはいえ、恵麻ルート自体はとても良い出来なんですよ。


さて、里伽子&恵麻ルートばかり語ってしまいましたが、他のヒロインルートもとてもよく出来ています。メインヒロイン若き天才ピアニスト、風見由飛ルート。彼女の痛さには最後まで慣れませんでしたが笑、彼女のトラウマに玲愛を絡めた展開はよく描けていましたし、TRUE ENDにてそのトラウマを克服しピアノ大好きっ子に戻っていくくだりは感動的でした。だからこそ、由飛NORMAL END のピアノを諦めてしまっているエンディングはちょっと辛いです。彼女のルートは義妹である玲愛ルートと対になっていますが、玲愛は自分のルート以上にシナリオに貢献していましたね。由飛がピアノを弾けなくなり、姉妹がギクシャクしてしまった原因は、玲愛のピアノ挫折にあるのですが、それを当の玲愛が打開するシーンは非常に感動的です。

対して"カトレア"こと花鳥玲愛ルート、キャラの魅力に反して、特に目を見張る仕掛けもなく比較的淡々とツンがデレに変わる過程を描いていくのが彼女のルートです。ただし、後述のとおり彼女はキャラクターにN2爆弾級の魅力があるため、とにかく彼女のツンデレ具合に萌え死ぬルートだと言っておきましょう。それから社会人である玲愛の現実と不安を解決するための、仁のがんばりが映えるルートですね。ついでにラストでショコラの翠がチョイ役で出てくるので、翠至上主義のわたくしとしてはそれも評価点です笑。


仁の同僚にして、和菓子屋の娘、涼波かすりルート。彼女は本職であるパティシエの他にフロアも器用にこなすマルチプレイヤーではあるのですが、パティシエとしてはるか彼方にいる恵麻に対してコンプレックスを抱えています。そんな彼女の成長物語と、仁とのドタバタ恋愛劇です。作中一番ラブコメ色が強いルートで、かすりさんの魅力をうまく描けています。

かすりさんは完全キャラ勝ちですよね。彼女は年上であけすけで明るくて、また、仁を一途に想っているメンバーたちの中で唯一、常に中立的な立ち位置にいるため、屈指のキャラバランスを誇る本作において実はとても重要な役割を果たしている人なんじゃないかと思っています。ちょいちょい入る彼女の合いの手や暴言はなかなか笑わせてくれます。


そして最後に作中唯一の高校生である雪乃明日香ルート。仁が彼女の健気さに攻略されてゆく(笑)シナリオですが、彼女の子犬のような、小悪魔のような頑張りは、見ていて微笑ましく、またこれまた萌え悶えます。全体的に、視点こそ仁ですが物語の主導を握っているのが明日香であるため比較的ライトな雰囲気で進んでいくのですが、しっかり泣けるシーンもあり、文化祭でのファミーユ模擬店シーン、そして何より受験のためにファミーユを辞めるシーンは涙なしに見ることができませんでした。このシーンは時間軸の順序を入れ替えた作り方もうまかったし、最終日の一連のシーンが暖かいこと暖かいこと…。

どのルートもシナリオバランスは最強レベル。ぜひぜひプレイして暖かさにむせび泣いてほしいと思います。



追記ですが、全年齢対象のPS2版には、キュリオ3号店のサブチーフ兼玲愛の親友として登場していた川端瑞奈ルートと、新キャラとして、ファミーユにコーヒー豆を卸している沢崎珈琲の沢崎美緒ルートが追加されています。

瑞奈は立ち絵から一新されており、かなり可愛く生まれ変わっています。シナリオはとても地味ですが、底なしの才能を持つ濃いキャラたちの間で、ごく普通の子である瑞奈と仁が徐々に惹かれ合って思い悩む展開には妙にリアリティがあり、逆に感情移入がしやすいかもしれませんね。一方の美緒ルート、シナリオの内容は、里伽子ルートにぶつけるかのような味覚障害という設定を用いた鬱々としつつも泣きを誘うルートでした。この重いルートをしっかり書き切ったのは評価したいですし、最後失速しますが全体的にはよく出来ています。そして美緒もかなり良い一枚絵を何枚も抱えてますね。

これらのシナリオは丸戸さんではないようですね。確かにシナリオの完成度はオリジナルほどではなく、特に瑞奈ルートでの仁の発言に違和感を感じたりする部分もまぁあるにはありますが、オリジナルの雰囲気を損なわず、ひとまわり大きな世界観を作ることができていると思います。ふたりともPC版の方で攻略できないのが惜しいなぁと素直に思えますからね。



【グラフィック】
原画はねこにゃん様、大好きな絵師さんです。ショコラ時よりも画力が安定してきていますね。

最も絵的に魅力があったのはやっぱ金髪ツインテールの玲愛かな。発売前、中出しに怒って精子垂れ流しながら仁を踏みつける絵がサンプルCGとして戯画HPに上がった時、「こ れ は 買 い だ」とその道で話題になったとかどうとか。夕焼けをバックに手をつなぐCGは、本作1,2を争うCGかと。あ、いや、違うな2番だな。だって1番は里伽子の赤ちゃんを抱くCGだと満場一致で決まってますよね(涙)?

それから、立ち絵がイマイチなかすりさんですが、一枚絵ですと正直一番かわいいですね。他ヒロインも文句のつけどころなのないくらい可愛く描けています。背景なども特に文句なし、素晴らしいです。


【キャラクター】
全体的に、よくもここまで魅力的なキャラたちを全員かわいく面白くかぶらせず描ききったなぁというのが正直な感想です。丸戸さんのキャラ造形のバランス感に拍手、ですね。

中でも、えー、ラブコメ王とも言える丸戸さんにツンデレを書かせたら右に出る者はいなかったようです。世のツンデレマニアを唸らせ、数々のツンデレ予備軍をその世界に引き入れた偉大なるキャラクター、もうプレイした人ならわかります、キュリオチーフの花鳥玲愛ですね。彼女の絶妙なツンデレ具合はもはや神業、付き合いだすかださないかの微妙なラインのシナリオ中盤は、悶えまくること請け合いです。シナリオには里伽子がいますが、キャラクターには玲愛がいる、シナリオ/キャラクター両面に超ド級のキャラクターがいるというのが本作最大の強みなのかもしれません。

それにしてもファミーユの面々の温かいこと温かいこと。かすりさんのあっけらかんとしたキャラクターが一番好きでした。次いで健気で一生懸命な明日香、変人ながらも要所を熱く締める由飛も、嫉妬深くて笑えるまーねえちゃんも…、これはショコラにも共通していましたが、丸戸さんは舞台の空気感を温かくする力に本当に長けていますねえ。

実は里伽子は、キャラクター的にはイマイチです……とかいったら怒られますかね。一般的には1,2を争うところだと思います。でもそれって正直シナリオに引きずられているからだと思うんですよね。個人的にはパルフェのヒロインの中では一番下かもしれない。まぁでも、それはものすんごいレベル高い位置での話ですよ。他ヒロインがもっと好きだったから、ってだけの話ですよ。声があまり好みでない、というのもあるのかなぁ……。

そして卵料理に並々ならぬ情熱を注ぐ、主人公の高村仁。前作結城大介にひけをとらないかっこいい男です。次々と襲いかかる困難に立ち向かい、まわりの協力を得ながらもなんとか打開していく彼の姿には、心打たれるものがありました。丸戸さんの主人公は皆かっこいいですよね。


【音楽】
量も十分あり、全体的に世界観に合った温かみのある音楽ばかりです。「tea time」「陽光」などは本当に作品に合っていると思います。OPは「Leaf ticket」、切ないイントロが印象的な良曲です。I'veとKOTOKOさん、いい仕事しています。それからEDの「つまんない恋」、こちらもOPに並んで感動的な曲ですが、これは由飛が作った曲としてクレジットされているのですね。通常はインストVer.なのですが、由飛ルートでは、シナリオと連動して演奏会で彼女がこの曲を歌って終わります。この演出はかなり鳥肌もので泣けました。BGMの中で図抜けていたのは「暖かい空気に包まれて」。あすかの文化祭シーンなど、印象的なシーンが甦りますね。


以上、パルフェでした。
本当に褒めてばっかですね。でもそういうことなんです。欠点がほとんどなく、すべての要素に対して太鼓判を押せる、「エロゲーのお手本」ともいえる傑作です。



テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

【瑠璃色の雪】
瑠璃色の雪 PC98版

ruri00.jpg

メーカーAIL
シナリオ■■■■■■■■■□ 9.5
グラフィック■■■■■■■■■□ 9.5 (PC98版)
キャラクター■■■■■■■■■■ 10
音楽■■■■■■■■■ 9
お世話になりました■■■■■■■■■■ 10
総合【S+】 95点

記憶に残る冬の暖炉ゲー

評価高すぎないか!?と思われる方もいるかと察しますが、これはぶっちゃけ思い入れ点も込み込みになっているかと。DOS版の発売年が1997年ということですが、このとき僕はエロゲ歴1年目とかでして、初めて骨を与えられた犬のように強烈にハァハァした作品として elf「下級生」と共に記憶に残っている作品です。ですので、今冷静に本作をプレイしてもここまでの高評価にはならないとは思うんですけどね。でもそんな客観的になれない作品として心に根づいている作品です。

とはいえ、ゲームとして実際たいしたことないかと聞かれれば「NO」で、本作の作品完成度は非常に高くDOS版時代のエロゲ代表格と所々で評されるのも納得の出来です。


【シナリオ】
というわけで、瑠璃色の雪ですね。今の感覚でプレイしてしまえば古さや粗さは否めないのでしょうが、そんな文句は言わせないッスよ!

親の死をきっかけにして幼馴染の実家が大家を務めるアパートで一人暮らしを始める主人公。引越しの日に誤って爆破してしまった床下で発見した壺を開けてみるとその中から金髪の雪女瑠璃が現れて……、といった感じなのですが、メインヒロインの瑠璃に加えて、ヒロイン勢は、幼馴染、双子、同級生、後輩、教師、未亡人、バイト仲間、敵対勢力(退魔師)、と幅広く基本的なスペックを抑えており、どのヒロインもその属性に見合った超王道のストーリーです。もうこれぞ元祖!って感じがします。

オカルト色が強いかといえばあまりそういった印象もなく、瑠璃の「雪女」という設定が積極的にシナリオに絡んでくるのは退魔師の綾霞シナリオくらい。他のヒロインルートのときはさっさと主幹からはずれてしまうので、『冬の学園恋愛モノ』といった雰囲気の方が近いかもしれません。特に瑠璃なのですが、メインヒロインを張っていて肝となる設定の中心人物であるというのに、実は父親が淫魔で、それゆえに黒髪のはずの雪女でありながら金髪をしていたり宙に浮いたりできるという設定だけ特徴的であるものの、シナリオ自体は非常に薄い。つまりメインヒロインでありながら一番空気という可哀想な子です。


冬休み直前から物語は始まり、ヒロインにより差はありますが、大体1ヶ月くらいがゲーム期間となります。毎日何か行動を起こすと15分刻みに時間が進んでいくのですが、学園内や街中を歩き回り各ヒロインと出会い小イベントをこなすことで愛情度を上げ、ヒロイン特定イベントを通ると個別ルートに入る、といった感じですね。

システムは、エルフの同級生シリーズを参考にしたような、場所選択と時間経過を基としたSLGとなっていて、当時としてはかなり高い完成度だと思います。時間をつぶすのが億劫な部分もありますが、冬休みという期間内で町中徘徊してヒロインたちと時間を重ねていく過程がよく描けています。


一番良かったのは双子の妹、若葉ルート!普段は強気でノリのいいこのクラスメイトが、ルート内だととても女の子していてイイ感じです。その辺にいそうな女子高生っぽくて。彼女は、成績優秀でおしとやかな双子の姉に対して負の感情を抱えていること(まぁ逆もまた然りなのですが)に加えて、過去に駆け落ちの経験があるため家族と諍いを持っており、それがルート一番の山場である居候騒動につながっていきます。家族とうまくいっていない同級生、という設定がたどる王道的なシナリオ展開で、高校生らしいちょっぴり切ない温かなシナリオです。

各Hシーン前、主人公の部屋での会話や、年明けのバスケシーンは若葉ルートの真骨頂、ぶっちゃけ好きになります。また各ヒロイン、愛情度等に応じてEDが2つずつ用意されているのですが、若葉ルートのED1は全EDの中で一番好きです。普通に別れてしまっていた二人が数年後に同窓会で再会するという、理想を追いがちな純愛ゲーではあまり見られないタイプのビターで大人っぽいEDです。


続いて評価できるのは綾霞、雪那ルートですかね。綾霞ルートは、その退魔師という役柄上、瑠璃の雪女という設定や、主人公の父親の死の伏線などが絡んで一番このゲームの設定が生きているルートかと思います。雪那さんルートは、つつましくも楽しく懸命に暮らす雪那と娘との間に、主人公が新しい父親役として関わりだしていくハートウォーミングなストーリーです。ただ、この人雪女で片親なのにその設定を生かした展開が全くないんだよな、そのあたりがちょい残念(Win版にはあります)。

他、幼馴染の一線を越える陽子ルート、先輩への憧れが愛情に変わった途端に転校という現実に悩む恵ルート、生徒との恋愛を悪しとしてお見合いに走る担任教師の香織ルート、昔の男に美人局をやらされているバイト仲間の美弥ルート、積極的になりたい優等生の双葉ルート、があります。今考えても、どのルートも短めのシナリオながら人間模様や心理描写など、よく描けていると思います。

ちなみにテキスト増量、全原画差し替えのWin移植版もプレイしたんですが、やっぱり98版の方がいいな。新たなシナリオ展開やギャグ掛け合いのレベルが増してるのは確かにいいんですけどね~、98版の原画が大好きだったのでやっぱりどうしても見劣りしてしまいます。また、好感度が低いのに選択肢を誤ると、主人公がヒロインをレイプするという、アイルお得意の陵辱シーンに突入することができまして、これがシナリオに深みを生み出し、エロシーンのバリエーションを広げる味付け役として凄く効果的だったのですが、実はこれも98版にしかありません。何でだ。


だいぶ昔の作品ですんでどれもシンプルで、大きな山も二転三転するような展開も今の長編ゲームほどにはありません。それでも、冬を前面に押し出した雰囲気で、温かな雰囲気を保ったルートばかりです。まさに王道を走る読後感バッチリのテキスト、登場人物のキャラ作りの巧みさに、キャラ同士掛け合いのテンポの良さ、グラフィックもかわいい、Hシーンは濃く、場合によってはレイプになってしまうバリエーションの幅。トータルバランスの非常に高い、エロゲのお手本となるような名作だったと思います。


なので今から瑠璃色の雪をプレイしてみたいという方は、PC98のエミュを入れ、フロッピーディスクの98版でプレイするべきでしょう…といっても大変な手間ですが。。。



【グラフィック】
原画もシナリオ同様リバ原あきさん。シナリオ、原画の両方担当とはハンパじゃないですね。後のWin移植版も実はこの方なんですが、別人としか思えない退化具合。98版時代の絵柄はあんなに魅力的なのに…ということは98版瑠璃色的な絵柄をどこかで見ることはもう無いということですね…寂しい限り。園村姉妹などデザインが一新されていてもはや別人状態なのですが、Win版の黒髪ポニーテールよりも青髪ショートの方が断然かわいい。他、総じてPC98版のが良くてレベル違いすぎます。

あと、ブランド柄そうなのかわかりませんが普通の一枚絵よりもエロシーンの一枚絵がとてもうまいです。表情とか構図とか、とにかくエロシーンが濃いんすよ。 ねぇ。


【キャラクター】
全体のキャラバランスはとてもよいです。まず主人公がちょっと異色で、オタク系のくせにかっこいい。メガネ君で発明ばっかしてるド理系引きこもりタイプであるというに、言うこと為すこといちいち面白くてかっこいんすよ。そんなギャップがたまらないのか女子どもに非常にモテる主人公です。また彼と、陽子の兄である寿との掛け合いは非常に面白いです。

ゲイの店長や、マッドサイエンティストの科学部長、イケイケな香織の友人など、サブキャラもクセがあって面白いキャラばかりですね。

一番好きだったヒロインは双子妹の若葉と雪女未亡人の雪那さん。ふたりとも元気良くてさっぱりした性格ですんで、プレイしていてとても気持ちがよかったのを覚えています。実際こんな人いたら引くわ、という変人ヒロインや萌えヒロインが多い18禁ゲームという世界ですんで、竹を割ったようなキャラと気持ちよく結ばれる展開は普通ではありますが凄く好きですよ。ちなみに雪那さんのおかげで若妻属性開眼っすよ。そのアネさん気質なノリの良さや余りにも所帯染みた貧乏キャラが哀しい哉ギャグとしてうまく機能してしまっているため、シリアスな恋愛シーンや随一に濃いエロシーンとのギャップに萌えます。

こういうことは気づきにくい部分なのかもしれませんが、このゲームに出てくるヒロインたちは、とても「等身大の人間らしさ」に満ちています。上記もしましたが、この手のゲームの女の子キャラというものは、超人であったり変人であったり、またオタク共の理想を追求したような性格やノリであったり、やはりそれはゲームの中でのこと、なかなか現実味に乏しいことが多々あります。しかし本作のヒロインたちは、皆その発言や行動、考え方などが妙にリアルで、現実にもその辺にいそうな感じがするようなキャラばかりで、そこが本作にそこはかとなく惹きつけられる理由のひとつなのかもしれません。


【音楽】
これといって特筆するものも無いですが、鋭い笛の音を使ったり、シンプルにアレンジされたBGMは真冬の凛とした雰囲気によくあっていましたし、温かいシーンや屋内で使われるBGMもじんわりとよく馴染んでいたと記憶しています。基本的にはシナリオ自体が起伏の少ない穏やかなストーリーなので、音楽もそれに併せて控えめな感じにしたという印象です。古い作品ですんで、あまり高い評価はしづらいですが、それでもいまだに思い出せるBGMなんかもあったりするので、いい印象を持って頭に残っているということでしょうね。


という感じで瑠璃色の雪です。
とにかくPC98版瑠璃色の雪は僕にとってのある種バイブルでしたよ。マジで。



テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム