2ntブログ
エロゲ レビュー ブログ
【戦国ランス】
戦国ランス



メーカーALICE SOFT
シナリオ■■■■■■■■■□ 9.5
グラフィック■■■■■■■■■■ 10
キャラクター■■■■■■■■■■ 10
音楽■■■■■■■■■□ 9.5
リプレイ■■■■■■■■■■ 10
総合【S+】 97点

武将とランスの夢の共演

みんな大好きランスシリーズの最新作に、地域制圧型シミュレーションシステム、さらに舞台はもともと馴染みのある日本をモチーフにした島国JAPAN、とくればワクワクしないわけがありません。相変わらずの壮大なゲーム展開と数多の登場人物ですが、そのスケールにまったく負けない魅力を放って僕らの心をがっちり掴みます。

【シナリオ】
いつかJAPANが舞台になるのはわかっていましたが、ついに来てくれましたね。日本の戦国時代をモチーフにしているため、とても入りやすい作品になっています。もちろん内実は奇人変人ひしめくいつものルドラサウム世界です。タイトルこそ「戦国ランス」ですが、れっきとしたランスシリーズの第7弾であり、様々な設定や展開はこれまでの作品の踏襲となっています。もちろん知っておらずともプレイに支障はきたしませんが、知っているとよりディープなランス世界に入り込むことができますね。ゲーム附属のブックレットにこれまでのランスシリーズのダイジェストが載っていますので、それを読めばひとまずOKです!


前作、ゼスでの大騒動も収束した頃、ランスはJAPANでも絶世の美女と名高い織田家の香姫の噂を確かめに、温泉旅行も兼ねてシィルと共にJAPANを訪れます、実際の香姫はまだ年端もいかない幼い少女だったものの、その兄であり織田家現当主の織田信長と意気投合したランスは、織田家の影番として国を動かす旨を信長より打診されます。それを受け、JAPAN中の女性を我が物にするため、ランスがJAPAN制圧に乗り出します。

という、相変わらずのランス節でスタート。飽きない戦闘システムと膨大なイベント数がボリューム感を支えていますが、実はテキスト自体は比較的シンプルで、さくさく読み進められます。序盤は単純な国盗合戦なのですが、封印の弱まった魔人ザビエルが信長の身体を乗っ取るあたりから、物語はいつものランスシリーズの流れに変わっていきますね。


ルートは正史ルートの他に、本作のヒロインに抜擢された3人、山本五十六ルート、南条蘭ルート、上杉謙信ルートがあります。あとは魔王ルートというのもありますが、まあこれは詰んで終わるおまけみたいなもんです。

正史ルート、序盤は国盗りを進めながら仲間が増えたり他国の様子が進行する過程が描かれます。中盤以降はだいぶキナ臭くなり、織田信長の身体を乗っ取った魔人ザビエルとその使徒たちを相手取り、次期魔王候補のリトルプリンセス来水美樹が魔王として覚醒するまでの過程が描かれますね。

最後に正史が大きく動きますね。美樹が魔王として覚醒しかけ、恋人の健太郎くんも美樹の魔人となってしまいます。シィルはランスをかばって美樹の力で氷漬けにされてしまいますし、それを受けて次作、シィルを助ける方法を求めにヘルマンが舞台になる伏線を残して物語は幕を閉じます。で、最後ここ少しモノ申したいんですよね。もっと戦国ランスは戦国ランスとして物語を閉じてほしかったです。「つづく」みたいにさっくりと終わってしまいますので……。

さてさて、次回作はシィルがいない状態からスタートするのですね。さらに美樹が魔王に完全覚醒するのも時間の問題のように見えますがどうなるのでしょう。


序盤に織田家で夜桜を見るシーンがありますが、ここでの会話が非常に象徴的でした。信長は、死んでしまった妻の帰蝶を想って、「失ってからじゃ遅い」と言葉を紡ぎランスは「よくわからん」と返しますが、本作では、香姫が信長を、そしてランスがシィルを、大切な人を失いますね。このシーンはランスシリーズ全体でも指折りに綺麗なシーンですが、ここでの会話が本作の展開を象徴しているといっても良いでしょう。


不満点としては、後半に魔人ザビエル率いる魔軍がJAPANを侵攻してくるのですが、そのスピードがあまりにも早すぎます。博多天満橋からあっという間に織田家領土と隣接するところまで来てしまいますので、九州の島津軍なんて、正史ルートでのランスたちとの絡みなんて無いようなもんです。他にも、他国同士の絡みや戦争などをもっと描いてくれると混戦具合が出てもっと深みが与えられたようにも思えますが、まぁこれ以上膨らませすぎると逆に収集つかなくなるのかな。


二周目以降に各ヒロインへの分岐ができます。まずはお家再興を目指す山本五十六ルート。このルートは信長も香姫も死んでしまいますので、正式に当主となったランスをめぐり家督相続を繰り広げるルートです。自分以外全滅してしまった山本家跡継ぎのために男の子が欲しくてたまらない五十六もランスと身体を重ねますが、ご存知の通りランスはシイルに避妊魔法をかけさせているため子供ができるわけがありません。その後、謎の女「傾国」によりランスの子供ができたできないの一騒動があったり、実は死んでいなかったザビエルとの乱戦があったりして、EDは避妊魔法を一時的に解いた時に出来ていたランスと五十六の子供にスポットがあたって終わりますね。

しかしどうやらこのランスと五十六の息子「乱義」は、正史の設定として取り入れられそうです。今後出てくるかもしれませんね。

北条早雲の幼馴染のツンデレ南条蘭ルート。捕虜として捉えた後に早雲と蘭双方を騙すことでまんまと蘭を手篭めにするランス。その後病床に臥せた早雲の医者として現れる傾国の陰謀で開かれていく地獄の穴をふさいでまわるルートでした。最後は好感度によって、蘭が早雲のもとに戻るEDと、ランスになんだかんだついてくるEDがあります。

実は、彼女はザビエルの使徒である戯骸の封印体となっていますので、正史ルートでは戯骸の登場即ち蘭の死亡であり、正史では蘭は死んだものとして展開していくのです……蘭は物凄く可愛いキャラなのですが、むごい扱いですというわけでの救済ifルートとしての意味合いが強いのでしょう。戯骸を復活させない流れをとるために、信長が早々と封印され退場してしまうのがルートの特長で、島津軍との戦闘シーンがあったり、独眼龍家を攻める時間的余裕があったりと、比較的のんびりと出来るルートでした。

そしてJAPAN一の剣士、軍神上杉謙信ルート。本作最大の天然萌えキャラとして描かれる謙信、強いし可愛いし次回作でも是非出てきてもらいたいキャラクターですね。謙信はランスに一目惚れでどんぶり飯3杯しか喉を通らない重症ぶり、ランスも直球勝負で愛を伝えてくる謙信にたじたじ、とランスシリーズにはあるまじき(?)微笑ましい展開をみせます。このルートは三種の神器を揃えてJAPANの「帝」を謙信が目指すルートで、後半は各国の猛者たちとの一騎打ち帝レースに参戦します。


それから追加パッチで猿殺しルートというものがありました。信長のそばにはペットの猿がいるのですが、その猿をうっかりランスが殺してしまうという展開です。この猿は実はザビエルの使徒で、正史だと封印のひょうたんを割る役割がありますため、ようは、物語展開がなくなりのんびりと全国統一をしていくような遊び要素的なルートとなりますね。それからボツになってしまいましたが、鈴女ルートというのも構想段階ではあったようですね。鈴女好きとしては是非ほしかったですね!



【グラフィック】
アリスソフトのゲーム性は文句なしの業界随一ですが、その中でもさらに1,2を争う出来だと思います。いまのところ、大悪司、鬼畜王ランス、そして本作のいずれかではないでしょうか。かくいう私も、12月なかば発売だったと記憶していますが、見事に年末年始休みを持っていかれました笑

システム的には、地域制圧型シミュレーションで、シナリオ進行、自国イベントフェーズ、戦闘フェーズ、他国イベントフェーズなどひととおりこなして1ターン、といった形の、大悪司や大番長に似たシステムですね。肝になっているのは戦闘シーン、一回の戦闘で6人まで選べる武将ユニット+各々の軍隊で、それぞれのユニットには決められた属性があります。武士、足軽、弓兵、軍師、忍者、巫女、僧兵、陰陽、鉄砲隊…と色々あるのですが、当たり前ながら各属性の特徴は様々。

全滅させれば勿論完全勝利ですが、ポイントとなる考え方として、より多くのダメージを与えた方が勝つというわけでは決してなく、決められたターン内で戦果ゲージを相手国側に押し込んでいる方が勝ちとなります。攻め入る側は戦果ゲージが低い状態から戦闘開始となりますので、なんとか有利に合戦を展開させなければなりません。

例えば、相手国が防御重視の足軽を重点的に配置する編成だった場合、攻めあぐねたまま時間が立ち、圧倒的にダメージを与えているにも関わらず戦果ゲージを押し込み切れず負けてしまったりします。こういう場合は、後衛ユニットに攻撃できる陰陽師や弓兵ユニットを配置して相手後衛の武将を撃破するのが良いかなぁ(1ユニットを戦力ゼロまで落とし込めば戦果ゲージが大きく動くため)とか、いやはや最もパワーのある武士をまとめて3人前衛配置して超火力押しでいってみるかなぁとか、忍者の暗殺を使って一点突破を狙ってみるかなぁとか、都度敵国の状況に合わせて戦略を練りながらユニットを配置させることになります。同じ相手でもこちらのユニット配置で全く違う結果を生む点のやりこみ要素は素晴らしいです。もちろんそこにアイテム要素や金策を必要とする兵員補充などが絡んだりして、より深みを増すことも言及しておきます。バランス感が本当に見事なんです。

そして城がひとつ落ちれば必ず何かしらのイベントが起きるわけで、こういったご褒美要素や達成感要素はゲームとして必須の仕様であることもわかっています。

以上ゲームシステム面は最強クラスですが、純粋なグラフィック面も文句なしの極上レベル。織音さんを担当に添えた原画群の多さといったら。僕ははっきりいって織音信者なので、織音担当というだけでも歓喜なのですが、その数、一枚絵の魅力は期待を裏切ること無く尋常ではない良さです。さらにShadeBGMにのせたOPムービーの圧倒的高揚感は凄まじいですね。これ見たらみんな店に走るだろってほどに。僕が発売日に買った唯一のエロゲーであったりします。


【キャラクター】
武田、上杉、伊達、毛利、徳川…と時期こそばらばらなれど、誰もが知っている戦国武将たちがアリスソフトオリジナルにてガンガン登場してきます。それこそ女の子武将だったり、変態だったり、化物だったり…と相変わらずのキャラクターセンスは最高ですね笑。イラスト使い回しのモブキャラがたくさん出てくる分には納得なのですが、とにもかくにもユニークユニットが多い。これだけのキャラを全体に配置し、かつ印象が薄くなる奴がほとんどいない。あまりにも見事です。

信長・香姫をはじめとし、参謀の妖怪3G、重度のロリコン柴田勝家、そんな勝家のことが好きな剛腕乱丸…と織田家だけでもメンツは濃いです。織田家だと香姫が良いですね。ランスのJAPAN遠征のきっかけでもある香姫は本作においてシナリオの最も中心に近いところにいる女性キャラとなるわけですが、彼女がまぁ報われない。健気でまっすぐでかいがいしく兄やランスをよく慕っている彼女ですが、正史では魔人ザビエルに捉えられ少女ながらに陵辱されてしまいますし、五十六ルートにいたっては殺されてしまいます。不憫ではありますが、キャラがよく立っているうえに再登場の伏線もある彼女ですので楽しみですね。ちなみに彼女は後半戦闘ユニットに変化しますが、その際の属性が、一国の幼い姫でありながらも前線に立ち防御の役を担う足軽隊だというのは熱かったですね。

そして織田以上に濃い敵国のキャラたちもほぼ全員仲間に引き入れることが可能なわけですが、どいつもこいつもクセがあって魅力的なので、一体どういう編成にしていこうかと常に頭を悩ませること間違いなし。個人的に好きだったのは、風貌は目玉の親父なれど漢の中の漢で言動がかっこよすぎる独眼竜政宗、徳川たぬき軍団随一の武士たぬー本多忠勝、それからなんといっても今後のシリーズでの登場も期待できそうなJAPAN一の凄腕くのいち鈴女ですね。ういうい。

好みのキャラは人により千差万別でしょうね。ヒロイン格ではやっぱり謙信かなー。さらに援軍としてゼスとリーザスからおなじみのメンバーを呼び寄せることも出来ます。ゼスからはリズナ、ウルザ、マジック、リーザスからはかなみ、マリア、レイラですね。最高。もうこういったファンサービスといいますか、シリーズものの強みですよね。そして無料の追加パッチをあてることでシリーズ内でも1,2を争う人気の志津香を仲間に加えることもできます。グレイト。

ランスは相変わらずの傍若無人ぶりですが、突き抜け感が少し柔和になったというか、随所で人を気遣ったり感傷を見せたりと人間味ある面を見せ、僕としては余計に好きになりました。そして境遇も不遇、人気もいまひとつのメインヒロインシィルですが、本作、もこもこヘアーを後ろでポニーテール風にまとめるというイメージ転換、織音グッジョブにより凄く魅力的に描けています。シィル好きなんだけどなー。次回はほとんど出てこないっぽいし……。

本作ボスのザビエル、「これぞ魔人」というべき性格に見た目、文句なしの敵役といった様相ですね。見た目や性格でいうならば美樹なんかよりもよっぽど魔王然りとしていますが……当の美樹、健太郎はやっと正史に登場してきました。今後の絡みが楽しみです。美樹が登場しましたので、次作ではホーネット派の魔人も登場しそうな気配ですし、ますます目が話せませんね! …といっても、もうこれを書いている時点で既に4年ランスシリーズ続編の音沙汰なしです。。。


【音楽】
歌付き曲はないかわりに燃え燃えのギターロックBGMが盛られているのがランスシリーズの特徴です。音楽はShade氏、「Sengoku Rance」「rebirth the edge」が超上がります。かっこよすぎ。ボス戦の「Ontology」、謙信テーマの「Mars」、泣かせどころの「A Camly Wind」も印象に残っています。全体的に、戦闘は押せ押せのギター、日常は和楽器を使った日本音階の曲が中心でいい感じです。

そしていまどきのゲームにしてはありえない、声がない、という仕様も何故かまったく気にならないボリューム感。唯一無二の存在感を感じさせます。


以上戦国ランスです。ストーリーやキャラも魅力的、エロゲーとしての責務も果たしている。そして、やりこみ要素をこれでもかというほど詰め込んだ作品です。是非是非プレイして時間を忘れて没頭してほしいものです。



テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

コメント
コメント
コメントの投稿
URL:
本文:
パスワード:
非公開コメント: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
トラックバック URL
トラックバック