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エロゲ レビュー ブログ
【瑠璃色の雪】
瑠璃色の雪 PC98版

ruri00.jpg

メーカーAIL
シナリオ■■■■■■■■■□ 9.5
グラフィック■■■■■■■■■□ 9.5 (PC98版)
キャラクター■■■■■■■■■■ 10
音楽■■■■■■■■■ 9
お世話になりました■■■■■■■■■■ 10
総合【S+】 95点

記憶に残る冬の暖炉ゲー

評価高すぎないか!?と思われる方もいるかと察しますが、これはぶっちゃけ思い入れ点も込み込みになっているかと。DOS版の発売年が1997年ということですが、このとき僕はエロゲ歴1年目とかでして、初めて骨を与えられた犬のように強烈にハァハァした作品として elf「下級生」と共に記憶に残っている作品です。ですので、今冷静に本作をプレイしてもここまでの高評価にはならないとは思うんですけどね。でもそんな客観的になれない作品として心に根づいている作品です。

とはいえ、ゲームとして実際たいしたことないかと聞かれれば「NO」で、本作の作品完成度は非常に高くDOS版時代のエロゲ代表格と所々で評されるのも納得の出来です。


【シナリオ】
というわけで、瑠璃色の雪ですね。今の感覚でプレイしてしまえば古さや粗さは否めないのでしょうが、そんな文句は言わせないッスよ!

親の死をきっかけにして幼馴染の実家が大家を務めるアパートで一人暮らしを始める主人公。引越しの日に誤って爆破してしまった床下で発見した壺を開けてみるとその中から金髪の雪女瑠璃が現れて……、といった感じなのですが、メインヒロインの瑠璃に加えて、ヒロイン勢は、幼馴染、双子、同級生、後輩、教師、未亡人、バイト仲間、敵対勢力(退魔師)、と幅広く基本的なスペックを抑えており、どのヒロインもその属性に見合った超王道のストーリーです。もうこれぞ元祖!って感じがします。

オカルト色が強いかといえばあまりそういった印象もなく、瑠璃の「雪女」という設定が積極的にシナリオに絡んでくるのは退魔師の綾霞シナリオくらい。他のヒロインルートのときはさっさと主幹からはずれてしまうので、『冬の学園恋愛モノ』といった雰囲気の方が近いかもしれません。特に瑠璃なのですが、メインヒロインを張っていて肝となる設定の中心人物であるというのに、実は父親が淫魔で、それゆえに黒髪のはずの雪女でありながら金髪をしていたり宙に浮いたりできるという設定だけ特徴的であるものの、シナリオ自体は非常に薄い。つまりメインヒロインでありながら一番空気という可哀想な子です。


冬休み直前から物語は始まり、ヒロインにより差はありますが、大体1ヶ月くらいがゲーム期間となります。毎日何か行動を起こすと15分刻みに時間が進んでいくのですが、学園内や街中を歩き回り各ヒロインと出会い小イベントをこなすことで愛情度を上げ、ヒロイン特定イベントを通ると個別ルートに入る、といった感じですね。

システムは、エルフの同級生シリーズを参考にしたような、場所選択と時間経過を基としたSLGとなっていて、当時としてはかなり高い完成度だと思います。時間をつぶすのが億劫な部分もありますが、冬休みという期間内で町中徘徊してヒロインたちと時間を重ねていく過程がよく描けています。


一番良かったのは双子の妹、若葉ルート!普段は強気でノリのいいこのクラスメイトが、ルート内だととても女の子していてイイ感じです。その辺にいそうな女子高生っぽくて。彼女は、成績優秀でおしとやかな双子の姉に対して負の感情を抱えていること(まぁ逆もまた然りなのですが)に加えて、過去に駆け落ちの経験があるため家族と諍いを持っており、それがルート一番の山場である居候騒動につながっていきます。家族とうまくいっていない同級生、という設定がたどる王道的なシナリオ展開で、高校生らしいちょっぴり切ない温かなシナリオです。

各Hシーン前、主人公の部屋での会話や、年明けのバスケシーンは若葉ルートの真骨頂、ぶっちゃけ好きになります。また各ヒロイン、愛情度等に応じてEDが2つずつ用意されているのですが、若葉ルートのED1は全EDの中で一番好きです。普通に別れてしまっていた二人が数年後に同窓会で再会するという、理想を追いがちな純愛ゲーではあまり見られないタイプのビターで大人っぽいEDです。


続いて評価できるのは綾霞、雪那ルートですかね。綾霞ルートは、その退魔師という役柄上、瑠璃の雪女という設定や、主人公の父親の死の伏線などが絡んで一番このゲームの設定が生きているルートかと思います。雪那さんルートは、つつましくも楽しく懸命に暮らす雪那と娘との間に、主人公が新しい父親役として関わりだしていくハートウォーミングなストーリーです。ただ、この人雪女で片親なのにその設定を生かした展開が全くないんだよな、そのあたりがちょい残念(Win版にはあります)。

他、幼馴染の一線を越える陽子ルート、先輩への憧れが愛情に変わった途端に転校という現実に悩む恵ルート、生徒との恋愛を悪しとしてお見合いに走る担任教師の香織ルート、昔の男に美人局をやらされているバイト仲間の美弥ルート、積極的になりたい優等生の双葉ルート、があります。今考えても、どのルートも短めのシナリオながら人間模様や心理描写など、よく描けていると思います。

ちなみにテキスト増量、全原画差し替えのWin移植版もプレイしたんですが、やっぱり98版の方がいいな。新たなシナリオ展開やギャグ掛け合いのレベルが増してるのは確かにいいんですけどね~、98版の原画が大好きだったのでやっぱりどうしても見劣りしてしまいます。また、好感度が低いのに選択肢を誤ると、主人公がヒロインをレイプするという、アイルお得意の陵辱シーンに突入することができまして、これがシナリオに深みを生み出し、エロシーンのバリエーションを広げる味付け役として凄く効果的だったのですが、実はこれも98版にしかありません。何でだ。


だいぶ昔の作品ですんでどれもシンプルで、大きな山も二転三転するような展開も今の長編ゲームほどにはありません。それでも、冬を前面に押し出した雰囲気で、温かな雰囲気を保ったルートばかりです。まさに王道を走る読後感バッチリのテキスト、登場人物のキャラ作りの巧みさに、キャラ同士掛け合いのテンポの良さ、グラフィックもかわいい、Hシーンは濃く、場合によってはレイプになってしまうバリエーションの幅。トータルバランスの非常に高い、エロゲのお手本となるような名作だったと思います。


なので今から瑠璃色の雪をプレイしてみたいという方は、PC98のエミュを入れ、フロッピーディスクの98版でプレイするべきでしょう…といっても大変な手間ですが。。。



【グラフィック】
原画もシナリオ同様リバ原あきさん。シナリオ、原画の両方担当とはハンパじゃないですね。後のWin移植版も実はこの方なんですが、別人としか思えない退化具合。98版時代の絵柄はあんなに魅力的なのに…ということは98版瑠璃色的な絵柄をどこかで見ることはもう無いということですね…寂しい限り。園村姉妹などデザインが一新されていてもはや別人状態なのですが、Win版の黒髪ポニーテールよりも青髪ショートの方が断然かわいい。他、総じてPC98版のが良くてレベル違いすぎます。

あと、ブランド柄そうなのかわかりませんが普通の一枚絵よりもエロシーンの一枚絵がとてもうまいです。表情とか構図とか、とにかくエロシーンが濃いんすよ。 ねぇ。


【キャラクター】
全体のキャラバランスはとてもよいです。まず主人公がちょっと異色で、オタク系のくせにかっこいい。メガネ君で発明ばっかしてるド理系引きこもりタイプであるというに、言うこと為すこといちいち面白くてかっこいんすよ。そんなギャップがたまらないのか女子どもに非常にモテる主人公です。また彼と、陽子の兄である寿との掛け合いは非常に面白いです。

ゲイの店長や、マッドサイエンティストの科学部長、イケイケな香織の友人など、サブキャラもクセがあって面白いキャラばかりですね。

一番好きだったヒロインは双子妹の若葉と雪女未亡人の雪那さん。ふたりとも元気良くてさっぱりした性格ですんで、プレイしていてとても気持ちがよかったのを覚えています。実際こんな人いたら引くわ、という変人ヒロインや萌えヒロインが多い18禁ゲームという世界ですんで、竹を割ったようなキャラと気持ちよく結ばれる展開は普通ではありますが凄く好きですよ。ちなみに雪那さんのおかげで若妻属性開眼っすよ。そのアネさん気質なノリの良さや余りにも所帯染みた貧乏キャラが哀しい哉ギャグとしてうまく機能してしまっているため、シリアスな恋愛シーンや随一に濃いエロシーンとのギャップに萌えます。

こういうことは気づきにくい部分なのかもしれませんが、このゲームに出てくるヒロインたちは、とても「等身大の人間らしさ」に満ちています。上記もしましたが、この手のゲームの女の子キャラというものは、超人であったり変人であったり、またオタク共の理想を追求したような性格やノリであったり、やはりそれはゲームの中でのこと、なかなか現実味に乏しいことが多々あります。しかし本作のヒロインたちは、皆その発言や行動、考え方などが妙にリアルで、現実にもその辺にいそうな感じがするようなキャラばかりで、そこが本作にそこはかとなく惹きつけられる理由のひとつなのかもしれません。


【音楽】
これといって特筆するものも無いですが、鋭い笛の音を使ったり、シンプルにアレンジされたBGMは真冬の凛とした雰囲気によくあっていましたし、温かいシーンや屋内で使われるBGMもじんわりとよく馴染んでいたと記憶しています。基本的にはシナリオ自体が起伏の少ない穏やかなストーリーなので、音楽もそれに併せて控えめな感じにしたという印象です。古い作品ですんで、あまり高い評価はしづらいですが、それでもいまだに思い出せるBGMなんかもあったりするので、いい印象を持って頭に残っているということでしょうね。


という感じで瑠璃色の雪です。
とにかくPC98版瑠璃色の雪は僕にとってのある種バイブルでしたよ。マジで。



テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

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