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エロゲ レビュー ブログ
【野々村病院の人々】
野々村病院の人々

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メーカーelf
シナリオ■■■■■■■■ 8
グラフィック■■■■■■□ 6.5
キャラクター■■■■■■■■ 8
音楽■■■■■□ 5.5
病院■■■■■■■■ 8
総合【B】 71点

エロゲ×ミステリー

エルフ黄金期を支えた、蛭田昌人&横田守コンビの古き良き作品ですね。元はシルキーズ、リメイクがエルフから発売された推理アドベンチャーの良作です。当時に類をみない異色作であったことや、それでいて商業的成功をおさめたこと、そして本作成功を受けて、遺作臭作鬼作の「伊頭家三部作」への流れができた点など、その功績には目を見張るべきものがあります。

【シナリオ】
私立探偵の海原琢磨呂はひょんなことから足を骨折し、野々村病院に入院することになります。そこは最近、院長の野々村作治が死亡したことで話題になっている病院。死因は注射による中毒自殺とされているものの、医療ミスの多さからくる怨恨の線や現場のいくつかの要素から他殺の可能性も捨てきれずにいる状況です。婦人にて現院長の野々村亜希子は、とある理由から、探偵である琢磨呂に院長が自殺ではないこと、その犯人を見つけて欲しい旨を告げ、琢麿呂は興味の赴くままに捜査を開始します……。

ミステリーにしてマルチエンディングというハードルの高さもなんのその、ミステリーとしては非常にオーソドックスな内容ではあるのですが、ゲームという環境を駆使して非常におどろおどろしい世界観を創り上げていますし、エルフお得意の全方位に個性が突き抜けたキャラクター群は見事と言わざるを得ません。

蛭田昌人さんの独特のテキストも光ってますね。なんでこんなに面白いテキストが書けるのでしょう、この方は。しょっぱなの琢磨呂と大家さんの御子柴との会話から良質なコントを見ているかのような笑いに満ちています。ユーモア、エロ、シリアスすべてが同居しているうえにテンポの良さが全くブレない、素晴らしいライターさんだと思います。分量押しでも設定押しでもない、とにかく「読ませる」力のある彼のようなライターさんは本当に貴重ですね。復活しないんでしょうか……。

各人の思いが交差してストーリーをなしているところは非常に評価できます。被害者がいて、動機があり、それを中心に話が動いているだけではなく、そこに院長夫人の思惑や梨絵の行動など、キナ臭い思惑が二重三重に重なっているところがシナリオを面白くする肝ですね。ミステリーには必要であることは言わずもがなですが、構成力がすごいですね。エロゲだから、というマイナーさに甘んじることなくしっかり物語ができている点はさすがのエルフといえましょう。物語決着で描かれる犯人の動機の背景や、エピローグ部分がもっと書き込まれていればより良かったかな。


【グラフィック】
まぁ旧作ですので、今と比べると荒い部分もあるのですが、やはりエルフならではの塗りの丁寧さはすごいですね。グラフィックに関しては、その環境その環境における最大限の仕事をする会社だと思います。まぁ、キャラデザインもだいぶ時代を感じさせますし、好みの絵柄というわけではないんですけどね。

【キャラクター】
なんといっても蛭田イズムを前面に出した、主人公が非常にかっこいいです。女好きで適当で、独自の美学を貫き通し、それでいて頭がキレる、非常に魅力的な主人公です。漫才師ばりに口がまわる語り口も最高でしょう。正直この海原琢磨呂シリーズで何本か出せばエルフの代表人気シリーズになっただろうにという思いを禁じ得ません。琢磨呂はもちろんのこと、共闘関係にある記者の勉造、大家の御子柴、同じ探偵業を生業とする小物の西条、その西条の部下で且つ本作ヒロインの一角でもある涼子など、琢磨呂まわりの人間たちも非常にキャラが立っていますから。

舞台の病院内の人間も、犯人である千里はもちろん、双子というギミックを持つ梨絵や怖いようで清涼剤役として機能する美保、暗躍する院長夫人など、それぞれが重要な役回りをもって仕事をこなします。

キーパーソンとなる、入院患者の桃子の友人役の子が必要ないといやなかったかな。でもシリアス、笑い両輪で活躍するキャラが目白押しで素晴らしいですね。

【音楽】
音楽はこれといって特筆すべきものはありませんが、作風に合ったミステリー調のものを利かせていたと思います。全体的にはダウナーな雰囲気ですね。

以上、野々村病院の人々でした。タイトルがインパクトありますよね。ちなみに、今プレイするのであればダウンロード版を絶対お勧めします。塗りも綺麗でエロシーンも少し動きますしね。

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テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

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