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エロゲ レビュー ブログ
【steins; gate】
steins; gate


↑未プレイの方はコメント非表示絶対です。

メーカー5pb. × Nitro+
シナリオ■■■■■■■■■■ 10
グラフィック■■■■■■■■■□ 9.5
キャラクター■■■■■■■■■■ 10
音楽■■■■■■■■■■ 10
構成力■■■■■■■■■■ 10
総合【神】 99点

SFアドベンチャーの歴史的傑作

こんなにも惹きつけられたゲームは久しぶりです。本当に本当に、本っ当ーーーに、面白かったです!! いや、面白いというよりは「凄い」作品でした。終わった後の余韻がいつまでも残るのは名作の証ですね。正直、「シュタゲ買ってプレイするべきだろ常考」と発売日の自分にDメールを送りたい。

当サイトはエロゲレビューサイトですので、非18禁ゲームは基本載せない方針だったのですが、あまりにも面白かったので紹介したくてですね、気持ちとしてはエキストラ的な位置づけとして掲載をします。どちらかというと「感想」といった立場でライトに書かせてもらいますね。


……と思っていたら超絶長くなってしまいました笑。 暇でお好きな人はどうぞ。


【シナリオ】
舞台は電気と萌えの街、秋葉原。自身を「鳳凰院凶真」を名乗り厨二病からいまだ抜け出せない主人公岡部倫太郎は東京電機大学の一年生。彼は、幼馴染の椎名まゆり、同級生の橋田至とともに「未来ガジェット研究所」なる機器発明サークルを秋葉原の某ビルに間借りして運営しています。

ある日、単位取得のために訪れた講義にて、若干18歳で科学雑誌「サイエンス」に学術論文が掲載された天才少女、牧瀬紅莉栖と出会います。しかし岡部の脳裏にあるのは、以前同じ講演で何者かに刺され血溜まりに倒れている彼女を発見したという記憶。目の前で紅莉栖が紛れもなく生きている一方、それも決して見間違いなどではなく、すべてが実感を伴って記憶している事実に呆然とする岡部。さらに、その際橋田に送った紅莉栖刺殺の衝撃を綴った携帯メールが、何故か遡ること一週間前、すでに橋田へと着信していたことがわかります。

やがてラボメンバーと紅莉栖は、サークル内で発明した、携帯電話と直結した遠隔操作用電子レンジが原因であることを突き止めます。携帯電話を介して過去へとデータを飛ばしてしまうこの機械は紛れもない「タイムマシン」であり、人類史上初の快挙に浮かれる岡部と困惑する紅莉栖。いくつもの理論と人物と偶然の交錯を経て、タイムリープを検証していく未来ガジェット研究所のメンバーたち。しかしそれはやがて彼らの悲劇を誘引する世界規模での事態へと発展していきます。



と、僕なりにあらすじを書いてみましたが。。。ん~~!あらすじだけでもワクワクします!! やっぱり時間移動SFものはたまらないロマンがありますね。大枠の設定は、SFの大定番となる散々使い古されたタイムトラベルものであり、その設定自体に目新しさは全くありません。ですが個人的には使い古されていようがなんだろうが好きなジャンルですし、なによりそういう王道に乗ったうえでその王道を最高レベルまで昇華しただけのものがこの作品にはあります。 未プレイの方には是非プレイをして頂きたいですね。

シナリオは全11章と、各章で区切られてはいますが、次への大きな伏線や話のダイナミックな展開を章の終わりにもってきます。持ち上げて期待させては落とし絶望させる起伏のつけ方も素晴らしく、止めどころが見つけられず一気にプレイしてしまうシナリオの組み立て方は見事でした。


もう少し突っ込んで書いていきます。タイムリープに関して。この物語の凄い点のひとつに、タイムリープをファンタジーとして扱わなかった点があります。タイムトラベルものは通常、「そういうもの」としてストーリーは進められていきますし、タイムリープの仕組みそのものよりも、それを行うことで生まれるドラマに主眼が置かれますよね。

しかし本作、実在する物理学上の多くの仮説や研究機関を駆使しながら設定を固めている点が本当に素晴らしいと思います。特に、かつて実在(?)した『ジョン・タイター』のエピソードを基幹にして組み立てているシナリオ構造は興奮しますね。ジョン・タイターに関しては是非wikiで調べてみてください。

そりゃテーマがテーマですので細かい矛盾点はありますし、ガチンコで物理学を勉強している人から見たら無理のある解釈も多々あるのかもしれませんが、少なくとも未学習~にわかな層を唸らせるだけの説明はできていると思います。僕は科学者でも何でもありませんので、最高に楽しめました。

もちろん多くの作られた前提設定に助けられている部分も多々あります。とはいえこの前人未到の領域内で、実に多くの理論を紹介しつつ、タイムリープの仕組みや時間移動による世界改変に対して一定の論理を展開し切っているところは本当に恐れ入ります。さらにアキバにある有名な各施設を舞台として「秋葉原の今」を切り取ることで、リアリティは必然的に高くなり、作品の格を底上げしています。



そして本作、ヒューマンドラマとしても非常によくできている点を賞賛したいです。設定とシナリオを見事に両輪であわせもつこのバランス感こそが本作の魅力なのでしょうね。ワクワクさせる展開だとは思っていましたが、中盤における各サブヒロインの章や終盤で、泣ける展開を存分に入れこんでくるシナリオだとは正直思っていませんでした。

通常、過去への送信メール、通称Dメールにより「世界の史実が改変されると、別の世界線に移り、人々の記憶も事実も再構成される」という世界の仕組みの中で、オカリンのみが世界線を越えても何故か記憶を完全に継承し続けるという主人公設定が実にうまく効いています。今いる世界、α世界線のままではどうしても殺されてしまう運命にあるまゆりを救うために、オカリンは次々とタイムリープを重ね、一番最初の世界線であったβ世界線へと確変を行って行くのですが、すなわちそれは周囲のサブヒロインたちがこのα世界で心に刻んだ想い出や願った事実を「なかった」ことにしていくことと同義なんですね。このビターな対比は実に美しくまた切なく、それらの想いをただひとり背負い続け、耐えながら延々と世界線を移動していくオカリンの痛切な心の書き込みは素晴らしいです。



さて、長くなってしまうのを承知で、各ヒロインの章について感想的に書かせてください。

未来ガジェット研究所のメンバーとして次々と仲間を増やしていくオカリンたち。それぞれのヒロインメンバーにはそれぞれの抱える想いや背景があります。

ラボの下の階に店を構えるブラウン管テレビ専門店のバイト阿万音鈴羽。メインヒロイン以外では最も心を揺さぶる章だと思います。彼女はオカリンたちが今いるα世界線の未来から、望まない未来を変えるためにやってきたタイムトラベラーです。その鍵となる「IBN5100」というレトロPCをめぐってのシナリオ展開ですが、実は父親であったダルとの邂逅や、ラボメンバーとの時間作りなど、殺伐とした使命を負っている彼女の束の間のよりどころを無かったことにせざるを得ないオカリンの葛藤の描き込みは見事。

それは、父親と無事会えてラボメンバーと仲良くなる前にその世界線を鈴羽が離れていなければ、PC取得が失敗に終わり、失意のもと自殺をしてしまうというなんとも救われない展開であり、その悔恨で綴られた悲痛な手紙が彼らのもとに送られてくる世界線におけるエピソードは本当に胸が締め付けられるものがありました。


猫耳メイド喫茶の看板店員であるフェイリス。彼女はDメールを活用して父親の死を回避しています。そしてそれを元に戻す、つまり父親の死をあったことにするシナリオです。記憶は再構成されるために父親が生きていたという事実はもちろん無かった事にされるのですが、それだけの史実を作り替える罪の重さとフェイリスへの同情にオカリンが思い悩むこれまた胸が締め付けられる展開でした。そしてこのシナリオ構成は、柳林神社の一人"息子"、漆原るかの章にも使われていますね。どう考えても「男の娘」な自分にコンプレックスを持っていて、Dメールを用いて実際に女の子になっている彼女、いや、彼、いや、彼女。 女の子であるがゆえに素直にオカリンを想うことの出来る気持ちを否定し男に戻す行為に葛藤する様がやはり丁寧に書かれていましたね。展開はトンデモなのに感動してしまうのは何だろう……。

上記3人個別ENDが用意されていまして、要はオカリンが彼女たちの事実を「消さない」決意をすると個別ENDになります。しかしそれはどれも結局まゆり死亡の解決にはなっておらず、BAD ENDと呼んでも差し支えないものでした。どれも凄く綺麗に丁寧に書きこまれていましたけどね。

次章は、桐生萌郁の章になりますが、これはむしろ欧州原子核研究機構、通称SERNの面々の章となりますかね。萌郁には特に個別EDが用意されてはいませんが、SERNの一味でまゆりを躊躇なく殺す役割を担っていた萌郁の背景に強く焦点のあたる展開でした。また、章の後半でわかるラボの大家であるブラウン管販売店の店長がSERNの手先だったという設定や、店長の娘が、未来からタイムリープをして死んだ父親の復讐をしに来る展開は驚愕の連続で、話が派手に動く印象的なルートであったと思います。


そしてオカリンの幼馴染にして最大の理解者である椎名まゆり。この物語最大の目的は「まゆりの死の回避」ですし一見メインヒロインなのですが、準ヒロイン的な位置づけになるかな。メインヒロインは、天才少女牧瀬紅莉栖ですね。

このまゆりルートと紅莉栖ルートは同一テーマになります。α世界線ではまゆりが、そしてβ世界線では紅莉栖が、それぞれ死んでしまうわけなのですが、この究極の選択を前にしてオカリンが強烈に悩み、そして紅莉栖に背中を押される展開が共通していますね。結局はどちらのルートもβ世界線に移動することを選択するため紅莉栖は死んでしまうのですが、そこへの紅莉栖の絡ませ方と描き方が少し違いますね。まゆりルートの、紅莉栖が死んだβ世界線でのふたりの会話も秀逸ですし、一方の紅莉栖ルートでの、タイムリープの瞬間に彼女がオカリンに思いを告げに戻ってくる中、そのままタイムリープを実行するシーンも儚くて良いです。

僕はここの構成展開、つまりオカリンの行動は凄く評価していて、これまでずっと他ヒロインの想いを踏みにじり続けてきた「まゆりを救う」という信念を最後まで貫き通すのですね。たとえそれが愛してしまった少女の死につながるとしてもです。ゆえに、β世界線へ移動する時のオカリンの厨二病丸出しの最終演説は狂おしいほどに痛い。刺さる。ここは、他のキャラがポカーンとしている中、わざとあのダサい台詞を必死に紡いでいるところが本当に泣けるんだよなぁ。

努力と執念の果てに、元のβ世界線に戻る愛してしまった紅莉栖の死を確定させる、というドラマチックな展開は素晴らしすぎますよね。さらにここで物語が終結すると見せかけてエンドロール途中から最終章が始まるのもいい演出ですね。最終章の出来はここまで積み上げてきたすべての伏線や想いを継承しきったものに仕上がっています。

β世界線の未来からダルが完成させたタイムマシンでやってくる鈴羽にはテンション上がりました。しかし、戻り着いたβ世界戦であっても悲劇の結末しか待ってなかったという展開には、「嘘だと言ってよ、バーニィ!!」と思わず叫びました。

そしてβ世界線における15年後の自分から受け取るあまりにも熱いDメール、αでもβでもない新たな世界線「シュタインズゲート」に到達するために、世界を騙し紅莉栖を死から回避させるラスト。もう鳳凰院凶真を心の底から応援しましたよ……! なんという激熱の展開なのでしょうか。


ラストシーンも非常に沁みましたね。当然別世界線での彼女は、α世界線での記憶を持っていないわけですが、α世界線で交わしていたオカリンとの会話が、手のひらにわずかに残った雫のごとくふと口をついてこぼれ落ちる再会のシーンは、心震える本作最大の泣き所ではないでしょうか。アカン、今書きながら涙腺が

最後は「本当に良かった」「無駄なことなど何ひとつなかったんだ」と、切なくも清々しい気持ちで終えることができるかと思います。積み重ねてきた激しい展開の果てにある一雫の"奇跡"を丁寧に描き、静かに物語を閉じる様は、わかりやすい泣きゲーというよりも、心の深いところに染み入る感動といった、非常に質の高い愛おしいラストです。

ドンデン返しに次ぐドンデン返し、胸に迫るオカリンの執念とキャラたちの抱える強い想い、ロマン溢れる切り込んだサイエンスフィクション設定、叫びだしたくなるほどの熱い展開……

いや、もう是非! 是非!! プレイをして下さい!!
それがシュタインズ・ゲートの選択ですっ!



【グラフィック】
最近人気のhukeさんです。無機質な瞳、陶器のような質感、黒と蛍光色を利かせたダウナーでサイケな塗りで存在を主張する独特の絵師さんです。良くも悪くも一目見てこの方の絵だということがわかります。好みはハッキリ分かれそうですけどね。ただ、ビターな展開の多い本作には、萌え系の絵よりもガッチリはまったと思います。

ですからCGはキャラを描くというよりはストーリー上必要になる構図に則って描いたものが多く、個人的にはこういう方が好きですね。そしてTRUEルート最後の一枚絵! シーンの良さもありますが、こんな切ない表情の絵も描けるんですね、鳥肌が止まりませんでした。

システムが実はちょいとばかしイマイチです。フルスクリーン化しないと画面全体ががたついたり、スキップ機能が使えなかったりします。ま、シナリオが良いのであまり気にはなりませんでしたが。

それから用語解説メニューは良かったかな。親切なことに物理学や2ch用語など彼らの発するヲタク発言ひとつひとつに別途解説を設けるのは親切ですし、一般ユーザーも狙った作りでもありますね。逆に言うと、用語解説を設けることで、シナリオ内に無理な説明を入れないで物語が展開していくので非常に読みやすいです。且つ、用語解説があることを前提にして、一般ユーザー向けではないネットスラングなんかもダル君や紅莉栖さん(笑)の口からバンバン出てきますのでいちいち笑ってしまいます。非常に良いテンポが生み出されていますね。


【キャラクター】
非18禁でもありますし、絵柄も「萌え」といったものではない、シナリオも硬派なSFと、幅広い層にアタックする作りになっていながらも、キャラクターには、厨二病、デブヲタ、2ちゃんねらー、男の娘、コスプレ好き、メイド喫茶店員……とアキバ要素全開のキャラばかりです笑。

21世紀初頭のヲタク文化をモロに形取るキャラ設定は、「鮮度」という意味では難ありで、例えば5年後10年後にプレイすると古い作品になっているかもしれませんが、だから故に時代を象徴させる意味でタイムリープものという作品をよく立てていたともいえます。改変により、秋葉原が現在のアキバとは全く違う町様相になってしまうルートがありますが、この異質さは上記キャラ設定が効いているからこそ生きているわけですね。

主人公は岡部倫太郎、最高です。混沌をもたらす狂気のマッドサイエンティスト(笑)を高らかにうたいながら、実際のタイムリープにおいて彼はそういった独善的な存在になりきれないんですね。ひとりの人間として様々なことに葛藤し苦しむ様は非常に痛々しく、またもがきながらも懸命に最善の未来を掴んでいく行動には熱くさせられます。そしてシリアスモードの宮野真守さん演技が最高にうまいですね。要所要所で後悔に暮れる場面や、元の世界線に戻る時の勝利宣言シーン、ラストで紅莉栖を思う言葉など、もう終盤の彼の演技は突き抜けすぎています。

ただ、時折携帯に話しかけるのも何かしらの伏線なんじゃないかと思っていたのは勘繰りすぎでしたか。そこらへんはただの痛い奴だったんですね笑。

ヒロイン勢も全員すばらしいです。中でも圧倒的なのはやはりメインヒロイン牧瀬紅莉栖。ツンデレな天才少女ながら重度の2ちゃんねらーという設定も実に新しい。メンバー間のブレーン役としても、そしてツンデレメインヒロインとしても、めちゃくちゃにかわいく描けています。メインを張るヒロインでここまで魅力的なのも珍しいですね。彼女は超キレ者ですので、どの世界線でもオカリンの置かれている状況を柔軟に察知して、常に力になってくれるんですね。そういった、なんというかな、主人公の彼女というよりも、主人公の相棒、という位置づけなのが素晴らしく映えていました。

次に好きだったのは、絶望的な未来を変えるためにやってきたタイムトラベラー阿万音鈴羽。正直、常識はずれなヲタキャラたちの中では、唯一あけすけなノリで気持ちいい奴だったのが好感持てます。考えといい行動といい、非常にかっこいいですこの子は。ビンテージジャージを着ているのも何か好き。

そしてオカリンの右腕にしてスーパーハカーの変態紳士、ダルこと橋田至。こういうピースとして欠かせない友人キャラは嬉しい限りです。シナリオでもギャグでも遺憾なく存在感を発揮する彼、タイムマシン開発にも、舞台となる世界線の未来における重要度も、そして何よりも超キーパーソンである鈴羽の父親という設定も、何から何までやってくれましたねえ。

他、すべての登場人物がシナリオ上マストな存在として描かれます。無駄な人間がひとりも出てこない。正直もう2,3人いても良かったかな?と思わないでもないですが、これはこれで絶妙なキャラバランスで描かれています。


【音楽】
BGMは比較的無難な印象ですね。メイン画面の「GATE OF STEINER」、泣かせどころの「Believe me」が印象的ですね。そしてニトロ系は常にそうですが、歌曲が 抜けています。特にOP曲「スカイクラッドの観測」「A.R.」の高揚感は特筆すべきものがありますね。ED曲「Another Heaven」もプレイを思い出してグッときますねえ。



以上、「steins; gate」です。ちょっとメモ程度に書くつもりが結局こんなに長くなってしまいました。やっぱり思い入れが強くなるとどうしても長くなってしまうなあ。

さて……、願わくばなるべく多くの方がこのゲームに触れてくれることを。そして、物語の果てに迎える静かで穏やかな感動がその胸に刻まれることを。

エル・プサイ・コングルゥ!

テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

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2011/06/26(日) 10:32:18 | | # [ 編集 ]
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