ショコラ ~maid cafe "curio"~
バズーカ竹槍混合部隊
メイドカフェを舞台にし、当時大変話題になった本作品。戯画+シナリオ丸戸史明+原画ねこにゃんから成る最強チーム三部作の一発目です。全体の完成度という点では、後二作にはとてもとても及びませんが、続作にあたる「パルフェ」という超名作を生む世界の土台をここで作り出したというだけでも功績は大きく、そのあまりにも温かく抜け出せない雰囲気は既に確立されています。
【シナリオ】
再婚して長期の新婚旅行に出てしまった父親のカフェ経営を突如まかされた主人公、結城大介。同僚たちや義理の妹、家出娘などと時間を育みながら仕事にも恋愛にも打ち込んでいく、ってな感じのこのショコラ、まずプレイした人なら皆頷いてくれると思うのですが、シナリオの完成度にものすんごい落差があります。もうホントものすんーごい落差。「これが本当にあの丸戸さん?」と思ってしまうくらい、たいしたことないシナリオが多いのです。
美里、すず、チロルは「まぁ普通」、真子とさやかにいたっては「出来が悪い」と言い切ってしまいます。丸戸さんにしては、とかでなく普通の基準でみて悪い。後者ふたりは、Hシーンに、よくあるシナリオをとってつけたようなもので、違うライターなんじゃないか?と思ってしまいます。つまりこの作品に敢えて高評価をつける理由は、大村翠と秋島香奈子、この2人に全魅力が集約されているからだといっても過言ではありません。この二人のルートは個人的に是非プレイしてもらいたいレベルで、そのシナリオとキャラクターは後のパルフェクラスといって良いでしょう。
むしろ翠なんてまるねこ三部作の中でも一番好きですよ僕は。カトレアも海己も里伽子でさえも翠の前では霞んで見える。翠の愛しさと切なさと心弱さは僕のツボを確実に突いてきます。翠ルートの果てに泣きがあるのではない、もはや翠が出てきた時点で俺は泣く。ここに因果の逆転が生じるまさにコレはゲイボルグ大村。翠と大介は馬鹿をやれる友人同士でもあるのですが、実は翠は大介のことが大好きです。ですが翠は、大介と香奈子が本当は両思いであることを知っているのに加え、過去に大介と香奈子の駆け落ちを阻止したという負い目があるんですね。それゆえに自分の気持ちを誤魔化そうとして、しきれない翠の葛藤が翠ルートを良シナリオとする肝です。
でも、ショコラの真ヒロインは香奈子です。これは彼女にだけ大掛かりなシナリオ展開があることや、彼女にだけアフターストーリーが用意されていることからもわかります。次作「パルフェ」で仁がキュリオ1号店を訪れたときそこに翠がいたってのもそうですし(香奈子ENDだと翠は1号店に残り、翠ENDだと二人で2号店開きますからね)、「この青空に約束を」のサイドストーリー内で、さえちゃんの大学同期である香奈子が結婚するというくだりが出てくるのも裏づけになりますね。うぅ……、翠。。。
そしてその香奈子ルートは実際一番シナリオが良いです。天邪鬼な香奈子に対して、過去の因縁を乗り越えようとする大介の努力はたまらなく応援したくなりますし、特にキュリオに住み着いた喫茶店の妖精チロル、これは香奈子が自作の絵本の中で理想の自分を投影して作り出した存在なんですが、チロル攻略が伏線となり香奈子の攻略がきくようになるのは面白い仕組みといえます。さらに香奈子アフターストーリーのラストで、無愛想だった彼女がチロルと同質の屈託無い笑顔を浮かべることができるようになるシーンはショコラ泣き所"東の横綱"といえるでしょう。あとコロッケね、冷えたコロッケ。丸戸さんはこういう伏線使いが巧みだよなぁ。
そして香奈子ルートの翠、ホンットやばいです。彼女は、大介の最大の理解者でありながら大介への愛情を隠し続けている幼馴染で、さらに大介の想い人香奈子の最大の理解者でもある・・・こんなあまりにも切なすぎる設定乗り越えて結ばれて欲しい!!しかしながら本当に結ばれて欲しいがゆえに、結ばれない結末が実に似合ってしまう(泣)。香奈子アフターストーリーでの翠は、胸をかきむしるほどの切なさを見せます。10年間の思いにけじめをつけ大介に別れを告げるシーンは涙なしには語れねぇよ!!!
あ、今もキーボードを叩きながら視界がぼやけそうだ…。このシーンがまさに"西の横綱"であり、一番感動できる両シーンともに香奈子ルートなんですね。あー翠には幸せになってほしい…うぅ。
おっと、ふたりのことしか書いてませんね。でもまぁそれでいいんです。2:8の法則みたいなもんで、ショコラ部隊は他が雑魚でもこのふたりさえいれば常勝軍団になりえます。
あと及第点出せるとしたら、美里ルートかなぁ。彼女はヤクザの組頭の娘なので、その設定にまつわるルートになっていくわけですが…大介が組頭にタンカを切るシーンとバラさんは実に熱かったですけどね。なんというか、出来の単純なエンターテイメントというか。翠、香奈子ルートに比べちゃうとやっぱりレベルが違うのは否めないっす。
【グラフィック】
ねこにゃん大先生ですんで、総じてかわいいです。特に翠。でもまだやっぱり粗があって、絵によってバランス感のバラつきが目立ちます。パルフェ以降、きちんとした線でキャラがより生き生きと描けているのを知っている身としては、全体的におっとりしすぎな印象を受けますかね。
ま、でもかわいいですけどね。特に翠。
【キャラクター】
正直なとこ、翠を除いてそこまで魅力を感じるヒロインたちではないです。シナリオも関係しているのでしょうが総じてパンチが弱い。単純な平均値で言えばまぁ6点くらいが妥当なところなんですが、とにもかくにも翠という俺的最強キャラがいるので、10点をつけさせてください。翠だけで、他キャラの弱さを補ってなお余りある魅力、そう捉えてください。シナリオで上記した通り、彼女の立ち位置の設定があまりにも切なすぎるし、それを隠しつつ非常に明るく振舞うキャラが最高です。また、翠のキャラクター造形は声優さんの演技も大貢献していますね。彼女の声質と抑揚はこの翠というキャラクターを抜群に生かしています。
丸戸シナリオは総じて主人公がかっこいいですが、本作の大介も例に漏れず非常にかっこいいです。やるときはやる男、ここぞというときに女の子に対する強烈な求心力を見せる姿は素晴らしいです。それが顕著に表れるのはやっぱり香奈子ルート。必見です。
そして、忘れてはならないのがキッチンスタッフのバラさん。大人の包容力で皆を見守り、料理の腕も一級品、果ては○暴を圧倒する実力と存在感。翠ルートで、翠から大介の代わりとして愛情を求められるシーン、さらにその後大介に翠の本当の気持ちを諭すシーンがありますが、ここでのバラさんはダンディズムの極みでした。
【音楽】
OPの「CREAM+MINT」、I've Sound と KOTOKOの組み合わせは敵無しなんで悪いはずがないです。あぁ、そういや戯画まるねこ三部作はどれも主題歌はI've+KOTOKOなんですね。彼女らもまるねこ名チームの必須条件であったようです。
音楽は、作中雰囲気にとてもあった、やわらかい曲が多いです。温かいシーンに合わせて流れる「溜め息とレモンティー」「eternal ties」も、泣かせる曲といった感じではなく控えめな曲ですがそれはそれでいいですね。
とまぁショコラでした。
まぁ言ってしまえば翠ゲーなんですよ。翠がいなきゃ評価高くないっすよ。
メーカー | 戯画 |
シナリオ | ■■■■■■■□ 7.5 |
グラフィック | ■■■■■■■□ 7.5 |
キャラクター | ■■■■■■■■■■ 10 |
音楽 | ■■■■■■■ 7 |
翠っ…! | ■■■■■■■■■■ 10 |
総合 | 【B+】 78点 |
バズーカ竹槍混合部隊
メイドカフェを舞台にし、当時大変話題になった本作品。戯画+シナリオ丸戸史明+原画ねこにゃんから成る最強チーム三部作の一発目です。全体の完成度という点では、後二作にはとてもとても及びませんが、続作にあたる「パルフェ」という超名作を生む世界の土台をここで作り出したというだけでも功績は大きく、そのあまりにも温かく抜け出せない雰囲気は既に確立されています。
【シナリオ】
再婚して長期の新婚旅行に出てしまった父親のカフェ経営を突如まかされた主人公、結城大介。同僚たちや義理の妹、家出娘などと時間を育みながら仕事にも恋愛にも打ち込んでいく、ってな感じのこのショコラ、まずプレイした人なら皆頷いてくれると思うのですが、シナリオの完成度にものすんごい落差があります。もうホントものすんーごい落差。「これが本当にあの丸戸さん?」と思ってしまうくらい、たいしたことないシナリオが多いのです。
美里、すず、チロルは「まぁ普通」、真子とさやかにいたっては「出来が悪い」と言い切ってしまいます。丸戸さんにしては、とかでなく普通の基準でみて悪い。後者ふたりは、Hシーンに、よくあるシナリオをとってつけたようなもので、違うライターなんじゃないか?と思ってしまいます。つまりこの作品に敢えて高評価をつける理由は、大村翠と秋島香奈子、この2人に全魅力が集約されているからだといっても過言ではありません。この二人のルートは個人的に是非プレイしてもらいたいレベルで、そのシナリオとキャラクターは後のパルフェクラスといって良いでしょう。
むしろ翠なんてまるねこ三部作の中でも一番好きですよ僕は。カトレアも海己も里伽子でさえも翠の前では霞んで見える。翠の愛しさと切なさと心弱さは僕のツボを確実に突いてきます。翠ルートの果てに泣きがあるのではない、もはや翠が出てきた時点で俺は泣く。ここに因果の逆転が生じるまさにコレはゲイボルグ大村。翠と大介は馬鹿をやれる友人同士でもあるのですが、実は翠は大介のことが大好きです。ですが翠は、大介と香奈子が本当は両思いであることを知っているのに加え、過去に大介と香奈子の駆け落ちを阻止したという負い目があるんですね。それゆえに自分の気持ちを誤魔化そうとして、しきれない翠の葛藤が翠ルートを良シナリオとする肝です。
でも、ショコラの真ヒロインは香奈子です。これは彼女にだけ大掛かりなシナリオ展開があることや、彼女にだけアフターストーリーが用意されていることからもわかります。次作「パルフェ」で仁がキュリオ1号店を訪れたときそこに翠がいたってのもそうですし(香奈子ENDだと翠は1号店に残り、翠ENDだと二人で2号店開きますからね)、「この青空に約束を」のサイドストーリー内で、さえちゃんの大学同期である香奈子が結婚するというくだりが出てくるのも裏づけになりますね。うぅ……、翠。。。
そしてその香奈子ルートは実際一番シナリオが良いです。天邪鬼な香奈子に対して、過去の因縁を乗り越えようとする大介の努力はたまらなく応援したくなりますし、特にキュリオに住み着いた喫茶店の妖精チロル、これは香奈子が自作の絵本の中で理想の自分を投影して作り出した存在なんですが、チロル攻略が伏線となり香奈子の攻略がきくようになるのは面白い仕組みといえます。さらに香奈子アフターストーリーのラストで、無愛想だった彼女がチロルと同質の屈託無い笑顔を浮かべることができるようになるシーンはショコラ泣き所"東の横綱"といえるでしょう。あとコロッケね、冷えたコロッケ。丸戸さんはこういう伏線使いが巧みだよなぁ。
そして香奈子ルートの翠、ホンットやばいです。彼女は、大介の最大の理解者でありながら大介への愛情を隠し続けている幼馴染で、さらに大介の想い人香奈子の最大の理解者でもある・・・こんなあまりにも切なすぎる設定乗り越えて結ばれて欲しい!!しかしながら本当に結ばれて欲しいがゆえに、結ばれない結末が実に似合ってしまう(泣)。香奈子アフターストーリーでの翠は、胸をかきむしるほどの切なさを見せます。10年間の思いにけじめをつけ大介に別れを告げるシーンは涙なしには語れねぇよ!!!
あ、今もキーボードを叩きながら視界がぼやけそうだ…。このシーンがまさに"西の横綱"であり、一番感動できる両シーンともに香奈子ルートなんですね。あー翠には幸せになってほしい…うぅ。
おっと、ふたりのことしか書いてませんね。でもまぁそれでいいんです。2:8の法則みたいなもんで、ショコラ部隊は他が雑魚でもこのふたりさえいれば常勝軍団になりえます。
あと及第点出せるとしたら、美里ルートかなぁ。彼女はヤクザの組頭の娘なので、その設定にまつわるルートになっていくわけですが…大介が組頭にタンカを切るシーンとバラさんは実に熱かったですけどね。なんというか、出来の単純なエンターテイメントというか。翠、香奈子ルートに比べちゃうとやっぱりレベルが違うのは否めないっす。
【グラフィック】
ねこにゃん大先生ですんで、総じてかわいいです。特に翠。でもまだやっぱり粗があって、絵によってバランス感のバラつきが目立ちます。パルフェ以降、きちんとした線でキャラがより生き生きと描けているのを知っている身としては、全体的におっとりしすぎな印象を受けますかね。
ま、でもかわいいですけどね。特に翠。
【キャラクター】
正直なとこ、翠を除いてそこまで魅力を感じるヒロインたちではないです。シナリオも関係しているのでしょうが総じてパンチが弱い。単純な平均値で言えばまぁ6点くらいが妥当なところなんですが、とにもかくにも翠という俺的最強キャラがいるので、10点をつけさせてください。翠だけで、他キャラの弱さを補ってなお余りある魅力、そう捉えてください。シナリオで上記した通り、彼女の立ち位置の設定があまりにも切なすぎるし、それを隠しつつ非常に明るく振舞うキャラが最高です。また、翠のキャラクター造形は声優さんの演技も大貢献していますね。彼女の声質と抑揚はこの翠というキャラクターを抜群に生かしています。
丸戸シナリオは総じて主人公がかっこいいですが、本作の大介も例に漏れず非常にかっこいいです。やるときはやる男、ここぞというときに女の子に対する強烈な求心力を見せる姿は素晴らしいです。それが顕著に表れるのはやっぱり香奈子ルート。必見です。
そして、忘れてはならないのがキッチンスタッフのバラさん。大人の包容力で皆を見守り、料理の腕も一級品、果ては○暴を圧倒する実力と存在感。翠ルートで、翠から大介の代わりとして愛情を求められるシーン、さらにその後大介に翠の本当の気持ちを諭すシーンがありますが、ここでのバラさんはダンディズムの極みでした。
【音楽】
OPの「CREAM+MINT」、I've Sound と KOTOKOの組み合わせは敵無しなんで悪いはずがないです。あぁ、そういや戯画まるねこ三部作はどれも主題歌はI've+KOTOKOなんですね。彼女らもまるねこ名チームの必須条件であったようです。
音楽は、作中雰囲気にとてもあった、やわらかい曲が多いです。温かいシーンに合わせて流れる「溜め息とレモンティー」「eternal ties」も、泣かせる曲といった感じではなく控えめな曲ですがそれはそれでいいですね。
とまぁショコラでした。
まぁ言ってしまえば翠ゲーなんですよ。翠がいなきゃ評価高くないっすよ。
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