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エロゲ レビュー ブログ
【AIR】
AIR



メーカーkey
シナリオ■■■■■■■■ 8
グラフィック■■■■□ 4.5
キャラクター■■■■■□ 5
音楽■■■■■■■■■ 9
田舎ファンタジー■■■■■■■■ 8
総合【C+】 69点

元祖泣きゲー

エロゲに興味のない人でも、このタイトルは知っている、という人はとても多いです。昨今ならまだしもこれは発売が2000年、萌えやオタク系文化にまだまだ抵抗の強かった時期に年間10万本を売上げ、様々なメディアミックスで世に広まった本作、エロゲ好きなら通っておかなければならない作品です。

【シナリオ】
生まれ備わった法術で人形を操り生計を立てている国崎往人は、持ち金が尽き、とある田舎町で行き倒れます。そこで出会ったのは空に憧れる孤独な少女神尾観鈴。観鈴の叔母にして養母である晴子の許可を得て、神尾家に転がり込む往人。観鈴の面倒見と資金集めの人形劇に勤しむ中、幾人かの少女と出会います。

ここで分岐、魔法が使えるようになると信じている活発な少女、霧島佳乃ルート、「みちる」と呼ばれる少女といつも共にいる遠野美凪ルート、そして、行き倒れた往人を拾ったメインヒロインにして日を追って衰弱してゆく神尾観鈴ルート。

翼人というファンタジーを軸にしつつも、全体を通してのテーマとなっているのは「母親」です。どのヒロインも母親という概念を特殊な状態で持っています。佳乃と観鈴は既に母親は他界していますが、姉と叔母が母親としての拠り所として描かれますし、ラストのAIR編は晴子と観鈴の母子愛に強い焦点が当てられています。美凪も母親こそ健在ですが、その愛情を歪んだ形で受けていることが展開のキーになってきます。

佳乃、美凪ルートは、観鈴を軸にしたAIRという作品一連の筋道からは逸れたルートではあるのですが、翼人伝説の奇跡の一端の影響を受けつつ、自分の置かれている環境を改善させてゆくルートですね。泣けますよ。特に美凪ルートでの、親友の少女みちるが消えるシーンはやばいです。

とにかく、奇人ヒロインとキャラ絵をまず乗り切ってください。シナリオと雰囲気はすばらしいものがありますので、そこを乗り切ってSUMMER編までいければOKです(何がだ)。

このSUMMER編こそがAIRの核。1000年前の古代日本を舞台にしたSUMMER編は、翼を持つ少女神奈と、それを守り仕える柳也、裏葉との「家族」としての交流が描かれます。最後は神奈は空に封印されたまま、柳也も未来における彼女の救済を望んで死に逝くという、何とも切ないENDを迎え、AIR編に入ります。1000年の時を経て、その輪廻を受け継いだ少女が神尾観鈴なわけですね。観鈴と晴子の母子愛を描くAIR編は、泣かせようとする感満載ですが、そりゃ泣きますて。観鈴死んじゃいますもん

あと、賛否両論分かれそうなのは、主人公の往人が展開に食い込んでいるわけではないんですね。彼は裏葉の法術を受け継いでいるキーパーソンではあるのですが、立ち位置としてはあくまで傍観者的役割でシナリオの楔とはならず、泣きを形作るのはヒロインとサブヒロインたちです。

と、いうかラスト感動しますが、結局SUMMER編の神奈はまだ救われていないんですよね。完全無欠のHAPPY ENDじゃないんです、コレ。そこが個人的には好きなとこだったりします。


【グラフィック】
ここですかねー…。
こんなこというと鍵信者に怒られそうですが、僕は樋上いたるさんのこの頃の絵が本当にダメなんです。最近の作品、リトバスとかならまぁ大丈夫なんですが、この頃は画力が安定していないのも手伝ってロリさに拍車をかけています。シナリオは凄いと思います、音楽も凄いと思います。背景や塗りも凄い、でも彼女のキャラ絵はホント駄目でした。

背景、塗りは10年近くも前だというに、よくもここまで気合入れて描きあげたなと思います。でもキャラ絵は苦手です。正直キャラ絵はかなり低点数なのですが、塗りやエフェクトなどよく出来ている他要素を加味して、それでも5点弱です。すまそん。


【キャラクター】
個人的には、ぶっちゃけどのヒロインよりも晴子が最高だろ、と思うのですがどうなんでしょう。

麻枝さんの特徴でもありますが、とにかく現実にいたら引いてしまう変なヒロインばかりです。信者の多い本作ですが、シナリオに反してキャラ造形が僕のツボにあまりはまらない。でもエロゲーという限定された領域のヒロイン像を考えるとよく確立されているのかな。コンシューマーものじゃあまり確立されないようなヒロイン像を作っていくことに関しては、確かにkeyは定評があるといやそうなのかもしれません。


【音楽】
プレイから7,8年の時を経てもいまだに頭に残っている「夏影」「鳥の詩」、この2曲は名曲ですね。他、全体的にいいです。特に神尾観鈴の「夏影」は素晴らしく、エロゲ界が生んだ名曲といって差し支えないと思います。音楽とエフェクト音の効果が特に大きいんですが、「田舎の夏」という雰囲気が非常によく出ています。


以上、エアです。AIR。ちょっと評価低めかもしれません。でも名作として今も語り継がれているだけのことはあるものです。最初にも書いたのですが、2000年の作品であるというのが凄い。泣きゲー元祖の底力を試してみてはいかがでしょう。



テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

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