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エロゲ レビュー ブログ
【媚肉の香り】
媚肉の香り

biniku.jpg

メーカーelf
シナリオ■■■■■■■□ 7.5
グラフィック■■■■■■■■■■ 10
キャラクター■■■■■■■ 7
音楽■■■■■■□ 6.5
美麗グラフィック■■■■■■■■■■ 10
総合【B+】 77点

エルフ復活祭

ここ最近のエルフは、黄金期を支えた名スタッフが軒並み消えたせいもあってか、往年の名作のリメイクばかりを繰り返し収益をあげるスタイルに移行、新作にしてもどうにも「エルフ」らしくない作品ばかり。そんな中リリースされた本作は、超超美麗なグラフィック、魅力的なキャラデザイン、エルフお得意のダーク路線に寝取りを前面に押し出したコンセプト…と発表段階から「今回は何か違う」と予見させるようなものでした。

【シナリオ】
恋人である由紀との卒業旅行資金を貯めるため、家庭教師のアルバイトをする主人公南拓也。ある日、教え子の三澤乙葉の志望校ランクをあげるため、夏休みに住み込みで家庭教師をしてもらえないかとの打診を三澤家後妻の香織から受けます。しかしいざ入居してみると、三澤家の人間たちの不穏な関係が徐々に明らかとなり、拓也自身もその泥沼に巻き込まれていくことになるのですが…。

野々村・河原崎シリーズに通じそうな、エルフお得意の泥々系ですね。基本的には沙耶というヒロインとのENDに向かう一本道シナリオで、選択をミスるとエロシーンを経てBAD END直行といったものですね。14,5時間あれば全部終わるかと。絵柄もテーマも雰囲気も、ビターでちょい大人びたエロゲですね。

舞台も普通の住宅街の家ですし、出てくる人物も基本的に普通の人たちです。山奥の洋館に縄綱・稲垣・美香みたいな狂人がいる河原崎2とか脱出不可の旧校舎に遺作大先生がいるとか、そういう類のものではなく、ごく普通の設定なんですね。でも何か不穏な空気に満ち溢れている、その空気感の演出は非常にうまくできていますね。

当初ヒールであった叶律子・沙耶と、主人公をかばい続けてくれる香織と由紀この立ち位置が最終的には全く逆になるドンデン返しが本作一番の肝でしょうかね。

そして真骨頂は、「媚肉の香織」これにあり。実は計画的に三澤家のっとりを企んでいた怜悧冷徹な本性を持つ香織視点での再プレイです。この香織視点ルートを見ることで、沙耶の凄さが改めてわかります。

シナリオはよく出来ていますね。この狭い舞台の制限内で、各キャラクターの思惑と行動がうまく立体的に交差しています。ところどころで仕掛けられている香織の思惑に引っかからないように進んでいけばきっと沙耶との流れに乗っかることができるでしょう。


【グラフィック】
グラは本当に凄いですよ。塗りの美麗さにはエルフの底力を見せつけられた感じです。加えて原画担当の市川小紗さん、ものすごい実力派ですが、萌え系の絵柄ではなく、なんというか「艶」のある画風ですね。加えて肉感的な身体の線も非常になまめかしく、どのキャラも魅力的に描けています。そしてエロシーンではこの絵が動くわけですが、それも髪の細かい動きまでよくわかるくらいに非常に緻密な動きを見せます。今僕が知る限りで一番綺麗なグラフィックな気がします。


【キャラクター】
主人公は、基本的におどおどしていて魅力に欠けますが、エロシーンの時だけやたらになりますし、大抵のBAD ENDでは殺人者として刑務所にぶちこまれます。往年のエルフ主人公のようなタイプではありませんが、これはこれでまぁ良いのではないでしょうか。

エルフお得意の奇人は三澤家当主の松太郎さんでしょうか。まぁでも奇人ってほどのもんでもなく、豪放磊落なただのスケベ親父って感じですが、たいがい殺されます

そんなことよりも女性陣のキャラ造形がすばらしいですね。まずは教え子の乙葉ですが、彼女には萌えます。萌えまくります。「萌えエロ」を謳っておいて「萌え」の部分はさほど強くない本作ですが、このキャラに関しては別ですね。キャラデザインが抜群に良いのもあいまって彼女の健気さにはしてやられます。本筋にそこまで絡んでこないのが残念ではありますが、まぁこの泥世界における唯一のオアシスなので、それはそれで良かったかと…また、乙葉ENDもあるにはあるのですが、やっぱりBAD ENDの類だしなぁ…。

次に主人公の彼女である由紀。この不穏な世界観において彼女の天真爛漫なキャラクターにはとても癒されます。だからこそラストで彼女が黒幕側の人間だとわかったときは衝撃が走りました。ただ、黒幕側ではあるものの、彼女は主人公のことを本気で愛し始めていますし、由紀ENDを作ってあげても良かったんじゃないかなぁ。

そして三澤家居候である叶家の沙耶。乙葉の従姉妹になるのかな?彼女は。最初サブキャラみたいな雰囲気なんですが、パッケージになっているとおり彼女がメインヒロインです。超クーデレ。9割9分が主人公に対して冷たい…冷たいんですが、それでもしっかり世話をみてくれているところや、主人公のことを想っているところに彼女の魅力が見えます。非常に出来る女、彼女がいなければ三澤家+主人公はベッチャンベッチャンのドロンドロンになっていたことでせう。本作、ダークな作品ではあるのですが、彼女との純愛ゲーでもあります。

最後に三澤家後妻の香織。この人はめちゃくちゃかわいく、めちゃくちゃエロく、そしてめちゃくちゃ怖い。まさに魔性の女です…キャラが立ちまくっていますねぇ。エルフは奇人男性キャラを作るのがうまいといわれますが、むしろ本作は彼女というキャラクターを作りだしたことが一番凄いですね。


【音楽】
メニュー画面は、BGM一切なしで風鈴の音が鳴っているだけ。これ凄く効果的です。この風鈴の音で世界に引き込んでいるといっても過言ではないです。全体的に音を極限まで絞ったシンプルイズベストなつくりになっています。もちろん敢えてそうしているわけでしょうが、上記したように舞台があまりにも普通の場所なので、音が世界観構築に貢献する部分も大きいと思いますし、そういった意味ではこのシンプルさがうまく作品の世界観を引き出せていると思いました。


以上、やればできるエルフでした。
とても丁寧に丁寧に作りこまれた作品で、すべての要素がエルフらしさに溢れています。



テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

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